あかねさんがショートヘアーで学校に登校してきた。お揃いだねと言えれば良いのに、なんだか分からないままに「似合ってる。かわいいね」としか私はあかねさんに言えなかった。
「ありがとう、切さん」
「うん」
チラリと早乙女君の方を向けば、一応の仲直りはしているらしく困った風に悩んでいる様子もない。句君は教科書を開いてアクビを噛み締めている。
ふと、あることを思い出した。
「ねえ、句君。小鎌さんも早乙女君と同じだって言っていたけど。あれってどういう意味なの?」
「ああ、あれか。姉ちゃんも特異体質なんだよ。乱馬みたいに可愛くならないからオレは気にしてねえし、戦えるから変身後の姉ちゃんも好きだぞ」
「……コイツ、表裏ねえよな」
「えぇ、純粋なバカなのね」
「ふ、二人とも流石に言い過ぎてるよ」
確かに句君は素直で優しい男の子なのは認めるし、私もそう思っているけど。それに、本人にバカなんていうのはダメだと思うの。
せめて、こうオブラートに包もう?と言いながら、教科書とノートを見比べて予習を繰り返す句君の真面目さは美徳だ。流石に何よりも強い人との喧嘩を愛しているのは、どうかと思うけど。
「じゃあ、本条先輩は男になるの?」
「いや、どっちもだ」
「「ああ、どっちも……ん?」」
「ウチの家系は割かし変わっているんだ。あるとき、本条家の人間と糸色家の人間が婚姻したとき、どちらも男だったとか女だったとか言われている」
「お、おお?」
「そして、双子を産んで四つ子になったそうだ」
「まあ、大家族ね!」
「切さん、なにか違うわよ」
そう感心する私とは裏腹にあかねさんと早乙女君は困惑したように首を傾げたり、首をひねったりと悩んでいるのが見えた。
なにか変だったかな?
不思議そうに二人の事を眺めるものの。あまり考えすぎるのはアレなので保留にしておこうと座る向きを変えて、黒板の方を見ると先生が既に来ていた。
「はい、授業を始めます」
そういう先生は気だるそうに溜め息を吐いて、私の方を一瞥した。なにか見定めるようにも思えたが、とくに親しくもないから転校生の観察でしょうね。
「(けど。何か違和感のある目だ)」
私に何か用事があるなら言えば良いのに、どうして言わないんでしょうか?やっぱり転校生で、あれだけ目立ってしまったら先生に警戒されるのは当たり前なのね。
「本条、早弁はやめなさい」
「先生、人間は食べる生き物だ」
「廊下で食べてなさい」
「分かった。ありがとう」
「えぇ?」
本当に廊下に行っちゃった。