「好きです!付き合って下さい!!」
「おほほほっ。どうしようかしら」
「……なびき先輩、浮気か?」
「くっ。いきなり来たわね!?」
ささっと構える天道先輩の頭の上に顎を置き、仲良しアピールをしている句君を目撃してしまった。従兄弟のああいうところは見たくなかったかも。
こっそりと見えないように移動し、逃げようとした瞬間、私の肩を天道先輩が掴んでいた。日々の健康法とアンチエイジングのために、天道先輩もエアロビクス感覚で私達の体操に参加している。
だから、動けるのは当然なんだけど。
「切ちゃん、逃げないわよね?アンタの従兄弟、気付いたら傍にいるのよ!どうにかしてほしいんだけど。もしくは、あの執着心を何処かにやってもらえる?」
「あはは、無理かな。ウチの家系って男の子は好きになった女の子を死ぬほど愛しちゃうみたいで、お爺ちゃんなんてすごかったらしいよ?」
「えぇ、そこまでなの?」
思わず、ドン引きする天道先輩。
そんな天道先輩に告白していた名前も知らない先輩は逃げ出してしまっていた。まあ、いきなり、こんなことになったら逃げるのは仕方ないかな。
「切ちゃん、何話してるんだ」
「句君の(愛の)重さの話しかな」
「オレは(体重的に)重いぞ?」
「「?」」
何か変な感じがしたような気がする。
「まあ、今は良いか。なびき先輩、1億だ。アンタのために仕事して稼いできた結納金だ。妙の姉ちゃんみたいに言うならそうだな。絶対に逃がせねえぞ?」
ドンと校舎を背にした天道先輩に顔を近付け、ニヤリと笑う句君に不覚にもドキリとしてしまった。天道先輩も珍しく頬を赤らめている。
これは、小鎌さんにお話ししてもいいかな。
「ま、まだ、私は自由で居たいんだけど?」
「良いぞ?別にオレはなびき先輩を監禁したり束縛したい訳じゃねえからな。まあ、逃げたら東風先生に借りた本のヤツを試すけど」
「ちょっと、何する気よ!?」
「そりゃあ……なあ?」
「私にフラれても分かりませんよ?」
確かに変わった本を収集しているとは思いますし、最近はかすみさんをデートにお誘いすることが出来たと嬉しそうに話していた。
「ああ、それから…ん」
「……九能ちゃんそうだったけど。女の子にいきなり指輪贈るの、風林館高校で流行ってるの?」
「帯刀先輩曰く『句よ、男児たる者。好意を寄せる相手には誠実に接し、誓いの指輪を贈るのは当然の義務だ』らしいからよ。だから、受け取ってくれ」
「……良いわ。ただし、あと1年、私が卒業するまでにアンタの事を好きにさせてみなさい。そうしたら結婚してあげるわよ」
「……っ、おう!」
しゃ、しゃらー、しゃらしょうしい!?