「………………」
「即席男溺泉の付属品だってよ」
「………意外と美形に変身したかな」
そう句君に話しながら私は鏡に映っている相楽左之助にそっくりに変身してしまった自分の事を見つめる。抗水セッケンを使えば直ぐに戻るらしいけど。
小鎌さんは喜んでいるし。
まあ、暫くはこのままで良いかな。
「なんで、男でも胸筋でかいのよ!!」
「小鎌さん、男の人って歩きにくいかも…」
「あ、それは分かる。こう、あるからね」
「……うん」
「ああ、股間のアレか」
普通に言おうとした句君の頭を軽く殴った瞬間、物凄い勢いで床を突き抜け、一番下の部屋まで突き抜けてしまった。男の人の筋力ってすごいわね。
「動きにくいから戻るね」
「待って!せめてデートしましょう!」
「私、女の子だよ?」
「今は細マッチョのイケメンよっ!!」
とんでもないことを言い出した小鎌さんを無視してお湯を浴びると勿体無いという悲鳴を聴きつつ、ついでに身体も洗って脱衣所に出ると「うぅ、私も細マッチョのイケメンが良かった」と嘆いていた。
ウ~ン、ちょっと分からないかな。筋肉は好きだけど、自分の物より他人の仕上がった筋肉を見つめたりする方が好きだし。
身体の水気を切って髪の毛をタオルで纏め上げ、眼鏡をかけ直す。
「姉ちゃんは蓄積したゴリラが溢れてんだよ」
「誰がゴリラよ!?アンタも娘溺泉の素があるんだから浸かってきなさい!!」
「分かった」
「「え?」」
思わず、私達は困惑しながらも水風呂に浸かった句君は出てきたとき、なぜか私と小鎌さんより小柄な可愛い女の子に変身していた。
「どうだ」
「……妹で押し通せないかしら?」
「すっごく可愛いかな!」
「姉ちゃんと切ちゃんの事を考えたら普通に可愛い外見にしかならないのは分かってたからな。しかし、筋肉が落ちてるのが不満だな。筋トレするか」
その姿で筋トレするの?
「可愛くても脳ミソ筋肉の愚弟なのね」
脳ミソは元々筋肉では?と思いつつ、句君にシャワーを浴びるように伝えると面倒臭そうにしながらもお風呂に入り、また男の子の身体で戻ってきた。
「抗水セッケン、効き目も十分だったけど。一番の衝撃は句の変化だったわね」
確かに抗水セッケンの効果はすごいけど。
これって早乙女君達にバレたら大変な事になるんじゃないかな?と考えながら、小鎌さんにドライヤーで髪の毛を乾かしてもらう。
眼鏡のフレームが歪むから外しているよ。
「句、なびきとはどうなの?」
「明日、健康レジャーランドでデートするぞ」
「え?私も明日九能先輩と行くよ?」
これは、何か企みがあるのかな?