何だかんだと恋運ぶ呪いの花   作:SUN'S

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抗水石鹸を我が手に 急

「九能先輩、手繋ぐ?」

 

「繋ぐ」

 

私の提案を悩む間もなく受け入れてくれた九能先輩にクスクスと笑ってしまうけど。眼鏡を外しているから、手を繋ぎたいのは私なんだよね。

 

見えないのは、やっぱり苦手かな。

 

「しかし、健康レジャーランドに来たのは初めてだが存外悪くないものだ。あとで温水プールというものに行ってみよう」

 

「温水プール!温かいプールって、どういうものなんだろうね。泳いでも良い大きなお風呂みたいもので、いいのかな?」

 

「ふむ、悩ましい質問だ」

 

「フフ、楽しみだね♪︎」

 

そう言って私は転ばないように九能先輩に身体を寄せた瞬間、ビクンと身体を跳ね上げて九能先輩はカチコチと動きを鈍くし始める。

 

見えないところで、何かあったのかな?

 

九能先輩の事を見上げようとしたその時、イヤな気配を感じて真上に飛び上がり、九能先輩の背中に抱き付き、目を細めて動き回るモヤを見据える。

 

赤い髪。聞き慣れた歩法。

 

早乙女流の癖を感じる。

 

「早乙女君、何してるの?」

 

「おほほほ、あたくしはあかねちゃんのクラスメートですわよ。恋のキューピッドシスターズ。あたくしはキューちゃん!!」

 

(早乙女君、あかねさんと上手く行かなくて変なことになっちゃったのかな。今は、ソッとしておいてあげたほうがいいよね)九能先輩、いこ?」

 

「うむ、さらばだ。おさげの女」

 

「ぐううぅぅぅっ……!!!」

 

何だか苦し気に唸る声が聴こえる。

 

ちょっと強く当たりすぎたかな。

 

そんなことを考えていると、響君の足音も聴こえてきた。いつもより嬉しそうに弾んでいる足音に不思議に思いながらも温水プールに到着した。

 

「切君、危ないだろう。僕に掴まると良い」

 

「うん。ありがとう、九能先輩」

 

彼の言葉にお礼を伝えながら抱き付き、背伸びをして九能先輩の首に腕を絡める。胸が邪魔だけど、こういうときは動かないほうがいいよね?

 

「んッ…あったかいね」

 

「ぬるま湯、のような感じだな」

 

「私には、ちょうど良いかな」

 

そう話しながらプールが深くて胸が浮いてしまう。男の人用の温水プールに来たのかと考える。眼鏡、曇っても良いから持ってくれば良かったかも……。

 

「……九能先輩、あんまり見ないで欲しいかな」

 

「す、すまない…不躾だったな」

 

「いえ、私も無防備だっから」

 

少し気まずくて気恥ずかしい気持ちになりながら、つま先立ちで九能先輩の腕に抱き付いたまま、プールの中を歩いてみる。

 

普通の冷たいプールより筋肉が解れやすい。句君もデートしているだろうし。いいところかもね。

 

 

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