マスターに相談した帰り道、早乙女君と右京さん、早乙女玄馬の三人が歩いているのが見えた。あかねさんが居たいところを見るに天道道場を追い出されたのかな。
そう考えながら歩いていると九能先輩と小太刀さんを見つけ、珍しく二人で買い物かと思ったその時、大きな風呂敷を背取ったお爺ちゃんを見つけた。
「お爺ちゃん、また下着泥棒してたの?」
「き、切ちゃん!?ち、違うんじゃよ。……その、身体は大丈夫かのう?血を吐いたりしとらんか?」
恐る恐る、心配そうに訊ねてきたお爺ちゃんにクスリと笑いながら、スカートを押さえて座り、お爺ちゃんに目線を合わせる。
「大丈夫かな。……けど、私は目が悪いのを気功法で補っていたから少しだけ怖いよ」
みんなに黙っていたことを伝えると、なんだか顔色を悪くするお爺ちゃんに小首を傾げてしまう。やっぱり変なことを言っちゃったのかな?
だとしたら、ごめんね。
「切ちゃん、ワシが破灸法を使うと言ったら受けてくれるか?」
「ウ~ン。断るかな、流石に早乙女君より先に破灸を受けるつもりはないし。なによりお爺ちゃんは私じゃなくて、真面目に早乙女君の相手をしてあげてほしいな」
私の提案にビックリしたように目を見開き、お爺ちゃんはニヤリと笑った後、邪悪な笑みを浮かべながら「切ちゃんがそこまで言うのなら元祖無差別格闘流の奥義の数々をあやつに使ってやろう!」と宣言してくれた。
うん……うん?なにか変な気がする。
多分、気のせいかな。
早乙女君と戦うために、お爺ちゃんは本気を出すと言ってくれた。それならきっと大丈夫だと思えるし、早乙女君の気持ちにも応えることが出来るはずかな。
「ところでのう。切ちゃんや」
「なにかな?」
「このブラジャーを着けて欲しいんじゃ!」
「……サイズが小さいから無理かな」
受け取った下着をそうっと押し返す。多分、それってあかねさんの下着だったと思うんだけど。お爺ちゃんはそのことに気付いているのかな。
そんなことを考えながら鬼の形相で走り寄ってくるあかねさん達に軽く手を振り、あまり危ないことはしないようにと伝えつつ、私は小鎌さんと句君、ライム君の待っているマンションに向かう。
景様もこんな気持ちだったのかな。
自分の弱さを悔しく思い、必死に努力していたのかも知れない。けど、やっぱり、身体が弱いからと嘆いていたのかも知れない。
「切君、こんなところに居たのか」
「九能先輩?」
「今の君はか弱いんだ。あまり一人で手歩くのはやめて、いや、僕を呼んでくれないか?」
九能先輩だって忙しいのに、そう言ってくれた。
本当に優しく素敵な人かな。