早乙女君の事を伝えた翌日。
私もあかねさんと一緒によもぎ谷に入り、モグサ岩の効能という看板を眺めて、湯気の立ち込める場所を探していると早乙女君が大岩に潰されていた。
「重いよ~!熱いよ~!」
「……早乙女君、たまに可愛いよね」
「えっ、いや、うん」
ちょっとビックリしたように私の事を見つめるあかねさんは他意は無いことを理解しているものの、すごく私の事を警戒している。
しかし、本当に効いているのかな。
そう考えながら階段を降りて、早乙女玄馬の傍に近寄ると「切君とあかね君達じゃないか!」と嬉しそうに笑い、気絶し掛けている早乙女君の背中にのし掛かっている大岩を揺さぶり、早乙女君を苦しめている。
かなり、重そうかな。
「早乙女君、こんにちは」
「い、糸色…!?」
私の登場にビックリした瞬間、ズシィンッ!と大岩に潰されてしまった。右京さんに話しかけると「ウチだけやと思ったンやけどなあ」と残念そうに笑う。
これだけあるなら、私も受けようかな。
「あかねさん、お願いできる?」
「えぇ、分かったわ」
シートを地面に敷いて、早乙女君と早乙女玄馬に背中を向けながら上着と下着を脱ぎ、シートの上に寝転ぶ。貧力虚脱灸を受けた背中を中心に拳大の石を乗せて貰う。
重いけど、我慢しないといけない。
「乱馬よ、負けておれんぞ!」
「う、うるせぇーっ!!」
ズシィンッ!と、また大岩か早乙女君に積まれ、動けるのか動けないのか分からなくなった。……それにしても、お灸って意外と大変なのね。
「切さん、どう?」
「効いたんか?」
「……ふん!んんんっ、んっ!」
寝転んだまま近くの岩を掴んでみるけど。
持ち上げることは出来ず、やっぱり効いていないかも知れないけど。いつも感じていた肩凝りは軽減された気がする。ここ、肩凝りに効くわね。
「……乱馬、何を見てるのよ」
「え、いや、いや!?」
「乱ちゃん、そんなに大きい胸がええんか!?」
なんだか騒がしいかな。
そう思っていると崖の上で鼻血を流して蹲っている響君を見つけ、なにかあったのかな?と考えながらも話しかける前に逃げてしまった。
やっぱり、何かあったのかな。
「(……そろそろ岩を退けてほしい)」
ぼんやりとうつ伏せのまま考えていると、あかねさんと右京さんの二人がブツブツと文句を言いながら戻ってきてくれたものの。
恨めしそうにうつ伏せのまま動けない私の胸をツンツンと突いてくる。えと、なにかしたなら謝るけど。私、本当になにかしたのかな?