「どう?」
「肩凝りには効いたかな」
「……そうなんや、良かったな」
しかし、困っているのは事実だ。
糸益首、戟號、ライム君、謎の男の子、四人の許嫁に出会っているけど。残り二人。お父さんの選んだ基準は未だに不明だし、乙津さんの頼んできた蛮竜の件もまだ分かっていない。
正直、焦りも感じている。
「糸色殿、悩んでおるな」
「お婆ちゃん、来てたの?」
左側に座っていたお婆ちゃんに驚きつつ、そう呟くと「うむ、シャンプーのためにも婿殿には強くなって貰わねばならんからな」と返ってきた。
横恋慕はよくないかな。けど、強さを取り戻したいのは私も同じだから出来るだけ手伝えることは手伝ってみるつもりだよ。
お爺ちゃんも私の破灸法だけはしようとしていたけど。本当に悔やんでいるなら、早乙女君にも貧力虚脱灸の破灸をしてほしい。
だけど。お爺ちゃんは渋っていた。
要するにお爺ちゃんは私に糸色景様の面影を見ているんだと思う。お爺ちゃんの好きな人が糸色景様だったのか。それとも病気の事で心配しているのかな。
ただ、分かっているのはお爺ちゃんは邪悪に染まりきっている訳じゃない。ちゃんと人を心配できるし、優しくも出来る。
「意地っ張りなお爺ちゃんなんだよ」
「ハッピーが意地っ張り?あやつはスケベ根性の染み付いとる邪悪妖怪じゃ。糸色殿は少しばかり優しすぎる。強き気持ちで挑むがよい」
「あはは、お婆ちゃんも優しすぎるよ」
私の頭の上に乗ってきたお婆ちゃんに、そう言うと「わしはずっと優しいつもりじゃよ。お主の高祖母にはよく世話になったからのう」と教えてくれた。
お世話か、何したのかな。
「しかし、婿殿に飛竜昇天破を使えるか」
「飛竜昇天破って、キリンに使った技?」
「うむ、あの時は偶然にも技を繰り出す技を相手が繰り出していたが、おそらくハッピーには通じん。ハッピー、八宝斎の名の意味を知っておるか?」
「ううん、知らないかな」
「───八宝とは『沢山の宝物』を意味し、古今東西のあらゆる武術を盗み学んだヤツの通り名じゃ。あやつに並び立つ存在はわしを含めて、楽京斎と珍玄斎の三人だけじゃろう」
らっきょうさい、ちんげんさい。
食べ物の名前みたいで可愛いかな。
「けど、お婆ちゃんもその人達も妙様には勝てないよ。あの人は本当に凄いんだ。人も妖怪も神様も倒して世界を救った人だからね」
「ほう。会ってみたいのう」
「今度、風林町と友引町の真ん中で個展を開くって話していたから行ってみる?」
「なんと、楽しみじゃな」
うん。本当に楽しみなんだよ♪︎