何だかんだと恋運ぶ呪いの花   作:SUN'S

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優しき八宝斎 破

しくしくと涙を流す早乙女君の気持ちは分かる。

 

流石に危ない事は見過ごせない。

 

「お爺ちゃん、もう許してあげたら?」

 

「そうやで、お爺ちゃん。乱ちゃん許したってえな」

 

「ならん!今、乱馬は弱さを知る大事な時期じゃ。ワシとて愛弟子を痛め付けるなど苦しく辛い。しかし、あやつが武道を極めるためには私情を捨てねばならぬ時は必ず訪れる」

 

モグモグとお好み焼きを食べる八宝斎のお爺ちゃんの言葉は普段のオチャラケてエッチなお爺ちゃんではなく、百年以上も戦ってきた格闘家の顔付きだ。

 

私や右京さんも自分の流派やお店の名前を背負っている立場だからお爺ちゃんの言いたいことは少なからず分かる。お爺ちゃんが早乙女君の事を元祖無差別格闘流の後継者に育てたいのも分かる。

 

だけど、やり過ぎだと思うんだよね。

 

「せや。お爺ちゃん、このまま乱ちゃんが弱いと切ちゃんも大変な事になるんやで?」

 

「? どういうことじゃ?」

 

「ええか?切ちゃんも貧力虚脱灸を据えられとるやろ。つまり、今の切ちゃんは今まで退けとった許嫁にとって極上の料理と変わらへんねん」

 

「それ、みんなに言われるかな」

 

私は料理じゃないんだけどな。

 

悪気がないのも知っているけど。そんな風に言われると、ちょっとだけ悲しいし。ライム君は優しく接してくれるし、糸益君は襲って来ないからね。

 

残りの人はしらないけど。

 

「下手したら怪我するかもしれんで?」

 

そう右京さんが告げた瞬間、お爺ちゃんは「景殿、ワシは…」と静かに呟いていた。そういえば景様と交流していた話し、まだ聞いてなかったよね。

 

「ええんか?ええんやな?」

 

「うぐっ、ぐううぅぅっ…!切ちゃんがひどい目に遇うのは絶対に阻止したい~!!」

 

「おお!効いとるで、切ちゃん♪︎」

 

「私は精神攻撃のネタにされるなんて予想外だよ…」

 

しかし、お爺ちゃんは私に何を抱いているのかな。時々、私を見る目に後悔や悲しさを乗せているし、景様に何かあったのなら知っておきたい。

 

「切君、此処に居たのか」

 

「あら、切さん?」

 

「Oh!!糸色さんデスね!」

 

「九能先輩、小太刀さん、先生もこんにちは」

 

「久遠寺、豚たまを二つ。ダディ、三年ぶりに食すお好み焼きだろう。この九能帯刀のイチオシする豚たまを食べると良い」

 

「お兄様、お好み焼きは海鮮ですわ」

 

「フウゥ~ム。こうなったら息子と娘のオススメするものを、二つずつ貰いマース!とびっきりのヤツをお願いデース!!」

 

ワイワイと会話を広げる九能家のみんなを見ていると、少しだけ羨ましく思えてしまった。

 

 

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