私と早乙女君は無事に貧力虚脱灸の効果を破るお灸を受け、元の力を取り戻したけれど。早乙女君はあれから一週間経つけど、未だに復活できた喜びのあまり、手当たり次第に勝負を挑んでいる。
私も五回ぐらい勝負を申し込まれて、勝ったら勝ったで更に勝負を仕掛けて来るというジレンマを生み出し、私と九能先輩のデートはすごく邪魔されている。
「もっかい!もっかい勝負しようぜ!」
「おのれは小学生か!!」
登校中でも突撃してきた早乙女君は、木刀の一撃で吹き飛んでいく。そんな彼の隣にいたあかねさんに苦笑を浮かべつつ、三人で昇降口に向かう。
「家でも暴れてるの?」
「そーなの。あたしの部屋は無事だけど、居間とか庭とか滅茶苦茶になってるんだから!」
「それは、やりすぎだね。早乙女君って、たしか居候なんじゃなかったっけ?」
「なにっ。そうだったのか!?」
「九能先輩、気付いてなかったの?」
「てっきり通っているのかと」
確かに許嫁とはいえ居候先に居るのはおかしいもんね。けど、早乙女玄馬と天道早雲の二人は何かしら考えて、居候を続けているはずだよね。
「(……そういう過ちを期待して?)」
いや、いやいや、ないですよね?
「成る程、そういう理由で居候に」
「えぇ、迷惑だけど。楽しいし、乱馬もたまにエッチだけど。普通に暮らしているわよ」
「あかね君、君は女の子なのだからあまり男に隙を見せるものではないぞ。現に切君は従兄弟の
「それは、普通じゃないかな?」
「切君、普通は同い年の異性の下着は触らないものなのだ。小鎌君もそう言っているだろう」
「小鎌さんは『この愚弟が、仕える人に洗濯物させるな!』って筋トレする彼の背中によく乗っているし、大丈夫じゃないかな?」
そう言うと何故か九能先輩とあかねさんは頭を押さえるように溜め息を吐いた。よく分からないけど、花嫁修行の一環だから良いんじゃないの?
不思議に思いながら歩いていると視線を感じ、そちらに振り返ると知らない男の人が佇んでいた。ついに五人目が来たのかと考えつつ、階段を上がって二年生の教室に入り、自分の席に座る。
壬生先生、またタイトルを獲ったそうだ。
左手一本という拘り方は少し変わっているけど。いつか先生の右ストレートを見てみたい。多分、私の想像を遥かに越える一撃だと思う。
「おはよーさん、あかねちゃん、切ちゃん。乱ちゃんはまた遅刻しとるん?」
「おはよう、右京さん」
「右京、おはよう。あいつなら最近の日課でまた吹っ飛ばされたわよ」