「全く我欲に狂った亡者どもめ」
「フフ、大変だったね。九能先輩」
「大変だったから膝枕を所望する」
「どーぞ♪︎」
ポンポンとスカートのシワを整えた太股を叩いて九能先輩の頭を受け止める。小さな声で「空が見えんな」と言っているけど、今日は快晴だよ?
不思議に思いながら九能先輩の頭を撫でていると、赤髪の女の子に変身した早乙女君が女子生徒の制服を身に付け、ニコニコと笑って手紙を九能先輩に差し出した。
「これは、おさげの女の恋文!?」
「……へえ?」
にっこりと早乙女君に微笑むと顔を真っ青に染めて逃げ出していく。私の恋人に横恋慕を仕掛けるなんて見下げ果てたよ。あかねさんには悪いけどね。
ゆっくりと九能先輩の耳元に顔を寄せる。胸が邪魔で顔を押し潰しちゃってるけど。そんなことを気にしている暇はないかな。
「ねえ、糸色家の女は重いんだよ?タッチー、他の女の子に現を抜かしたら許さないからね♥
むぎゅうっと九能先輩の頭を潰していた胸を退けると鼻血を流していた。……制服に鼻血付いちゃってる、クリーニングで落ちるかな。
「酸欠で分からなかったが、至福の一時だった。切君、もう一度頼めるだろうか。今度はあの囁きを大きめで録音させて貰えると助かる」
「むう、何かやだ」
鼻血の付いた部分を拭こうにも胸の下だから見えず、どうしようかと悩みつつ、満願丸と風林火山の二つが異様に殺気を放っていることに気づいた。
ベンチに立て掛けるものなのかな。
何の事を言っているのか、よくわからないけど。変な念を飛ばすのはやめてほしい。そういうのは九能先輩に押しつける方が良いんじゃないかな?
「うっ。変なイメージが頭の中に…!」
「えっ、大丈夫?」
「あ、ああ、大丈夫だ。ふしだらな妄想を無理やり植え付けられそうになったが、問題ない筈だ。おのれ、早乙女乱馬め!僕に勝てないからと変な事を!」
「(……多分、犯人は九能先輩の刀達かな)」
そんなことを考えていると男の子に戻った早乙女君が慌ただしく戻ってくるなり、さっきのラブレターをビリビリと破り捨てる。
「オレは男好きじゃねえ!!」
「おのれ!やはり先程のイメージは貴様か!」
いったい、なにを見たんだろう。
風林火山と満願丸を構えて早乙女君を追いかけ始める九能先輩に戸惑いつつ、こっそりと更衣室を持ってきてくれた忍び達にお礼を言い、鼻血で汚れた制服のクリーニングをお願いする。