「ふっふっふっ。勝負だ、糸色切」
「? おじさんだれ?」
「余は博奕王
「お父さんに負けたの?」
「そして、早乙女乱馬と久遠寺右京の二人にも仕返しをするために遥々やって来たのだ!」
よく分からない人に絡まれた事に私は小首を傾げながら差し出された地図を受けとり、天道道場に案内してあげる。お父さんと勝負した人なのか。
どういう拳法を使うんだろう?
少しだけワクワクする私に気付いたのか。後ろに振り返ったばくちおー、ばくちって何だろう?と考えつつ、天道道場の正門まで案内する。
「切さん?」
「来よったな!博奕王K!……と、なんで切ちゃんが一緒に居るんや?」
「お父さんに負けた雪辱を私で晴らしたいんだって、だから着いてきたんだけど。このばくちおーさんは格闘技やってる人なの?」
「ばくち、知らんのか?」
「えと、うん」
右京さんの問いかけに頷くと「そら、生粋のお嬢様やもんなあ」と勝手に納得されてしまった。一体、ばくちってなんなんだろう?
私がばくちを知らないことを知り、ニヤリと笑うばくちおーさんを見つめる。
「ふっふっふっ。すってんてんにしてやろう!」
「すってんてん?」
初めて聞く言葉に小首を傾げつつ、彼に差し出されたのはトランプのカードだった。何をするのかと思えばババ抜きだったらしい。
「あ、カード摩り替えた。ダメだよ?」
「ひょえっ!?」
「また摩り替えた!袖と首、あとお腹に巻いてるのからカード取り替えるのはダメだよ?」
「切ちゃん、見えとるん?」
「見えるも何も私はバット拳とスネーク拳の獣拳使いだから視覚情報より素肌の直感やエコーロケーションを使えるし、だから見えないものを見るのはお父さんよりも得意かな?」
そう言うと顔色を悪くするばくちおーからクローバーの八を抜いてババ抜きは終わる。他にもあるのかな?とワクワクしていたら「お前は存在が反則だから博奕しない!」と怒られてしまった。
見えるのにやるのが悪いと思うかな。
「とりあえず、見学だけする?」
「あかねさん、いいの?」
「えぇ、あたしたちは友達じゃない!」
「あかねさん、ありがとう」
すごく嬉しく思いながら、博奕王と漢字を書く名刺を受けとり、博奕の事も教えてもらえた。なるほど、博奕って賭け事のことだったんだ。
そういうものは一度もやったことないかな。
危ないからやっちゃだめだからね。