「やっぱり養毛剤なんだ」
「コイツを解いたら毛根が死滅するまで生え続ける。そうなったらオレはオヤジみたいなッ、ぐぅ!」
「坊主頭は可愛いのに……」
「「「えっ」」」
「え?……えと、変な事言ったかな?」
九能先輩も昔は坊主頭でとても可愛かったから、そういうものなのかと思っていたんだけど。違うのかな?と戸惑いながら、みんなの顔を見る。
早乙女君は髪の毛が無くなるのは嫌なんだよね。
「……髪の毛を使った格闘技もあるのに」
ボソッと呟いた瞬間、あかねさんと早乙女君が興味深そうに私の方を見てきて、少しビックリしたものの。日本や中国には髪の毛を利用した暗殺術や格闘技の伝承があることを分かりやすく説明する。
それにしても、二人とも本当に格闘技が大好きだね。
そう思いながら視線から隠れるように読んでいた本で顔を覆っていると、九能先輩に「切君、本が逆さまだぞ」と言われ、本を閉じる。
照れていただけですからね?
「しかし、困ったある。髪を求めるハゲは多いね、ムースも長髪だから直ぐに禿げるね」
「オラはまだ禿げんぞ!?」
「すぐ禿げるね」
「はげ、禿げんのじゃあ、早乙女乱馬…!」
「オレに聞くなよ!?」
同じ長髪仲間だから仕方ないかな。
「全く、まだちょんまげの方がましだな」
「えっ、すごく見たい」
「今のは言葉の綾だぞ?」
九能先輩のちょんまげにワクワクとしたけれど。すぐに物の例えだと言われ、悲しくなりながらも九能先輩の坊主頭を知っているのは私だけだ。
そこは、まあ、分かりやすいね。
「でぇへへへ、漸く見つけたぞ。らんまぁ!」
「出たな、邪悪妖怪!」
「仕方ない。オラ達が毛を守るだ!」
「おめぇら…!」
感動の涙を流す早乙女君のおさげを切ろうとする早乙女玄馬のハサミを蹴り飛ばし、槍の切っ先を突き付けながら本を閉じる。
「玄馬さん、子供の髪の毛なんだからだめよ?」
「ヌゥッ…これは乙女には分からぬ苦悩よ!」
「おっちゃん、ハゲは治らんのよ?」
「禿げは禿げね。諦めるよろし」
「いやじゃあぁーーーーっ!!!」
轟────ッ!!!!!
「「パンダの闘気!?」」
「まさか、獣拳ジャイアントパンダ拳!?」
「あるの、それ?」
「あるよ」
パンダの闘気の膨張に私達は隠れていた体育倉庫を飛び出し、次々と迫り来るパンダの気弾を防ぎつつ、お爺ちゃんの攻撃も避ける。
これは、流石にピンチかも知れないかな。
そんなことを考えていると、九能先輩が左腰に佩いていた満願丸を抜刀し、パンダの気弾を切り裂き、早乙女君やムースも暗器やモップを使い、攻撃を逸らす。