何だかんだと恋運ぶ呪いの花   作:SUN'S

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八宝斎と骨董品 序

あかねさんに借りていた本を返しに向かっていると何故か天道道場の正門脇に座敷を敷いて古びた道具や玩具を売っているお爺ちゃんを目撃した。

 

シャンプーとお婆ちゃんも吟味している。

 

「あいや。糸色(スースァ)も見るね?」

 

「良いの?ありがとう」

 

「おー、切ちゃんも見るか!これなんてどうじゃ」

 

スカートの裾を押さえて座り、お婆ちゃんとシャンプーの近くにしゃがむと嬉しそうに道具を差し出してきたお爺ちゃんの手を見る。

 

古びたキセルだけど。

 

灰の詰まりや目立った傷も無いものの、煙草を吸える年じゃないから保留かなと考えていたとき、ふとキセルに蜻蛉の装飾を見つけ、思わず目を見開く。

 

「これ、蜻蛉切、村正……?!」

 

「トンボ切?」

 

「元々糸色家にあった長煙管だよ。どうして、お爺ちゃんが持っているのかな?」

 

「えー、えーと、わ、忘れてしもうたわい」

 

ふいっと顔を逸らすお爺ちゃんに少しだけ怒りたい気持ちを押さえながらキセルを手にとって右手の人差し指と中指を立てて刀印を組む。

 

(オン)律鬼至輝(リツキシキ)

 

そう唱えると長煙管は一本槍に変化する。

 

やっぱり、本物だった。

 

左之助様がご隠居して以降、使っていたという槍、ひとえお婆様の譲り受けたという槍をどうしてお爺ちゃんが持っているのか。

 

────私はすごーく気になる。

 

「ホォーッ、(バケモノ)器物の一種じゃな。景殿はか弱き乙女であったが、糸色殿は実に相楽殿のように清々しい力強さを感じる出で立ちよ」

 

「そう?」

 

くるりと槍を回して長煙管に戻す。

 

左之助様が使っていた長煙管、買って返して貰えたけど。村正の仕上げた49振りの妖刀はまだまだ現代にも残っているかな。

 

「爺、またやらかしたのか?」

 

「切さん、来てたのね!」

 

「あかねさん、こんにちは。これ借りていた本と、私のお勧めの本」

 

「ありがとう、読ませて貰うわね」

 

「うん」

 

そう話していたとき、お爺ちゃんがいきなり私の持っていたキセルを狙ってきた。流石に我が家の宝物を返して貰わないといけないかな。

 

本条家の大鎖鎌も盗んでいるし。そういうのは、本当に悪いことだからやめようね。あとで私も一緒に謝ってあげるから返してあげよう?

 

「でぇへへ、やっぱりワシのものじゃ!」

 

「……流石に怒るよ。お爺ちゃん」

 

「怒れるものなら怒ってみせい!」

 

「お爺ちゃんなんて大嫌い」

 

「グフゥッ……!!」

 

私の言葉に吐血して倒れたお爺ちゃんに、ここぞとばかりに早乙女君達が金槌や岩を叩きつけ、惨たらしい仕返しを繰り返していく。

 

 

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