蜻蛉切村正の話を聴いて、他にも何かあるのかと早乙女君とあかねさん、天道先輩、かすみさん達もお爺ちゃんの露店を見つめる。
「あら、綺麗な靴ね」
「ガラスの靴なんてシンデレラみたいねぇ」
「死んだレラ?」
「乱馬、シンデレラ知らないの?」
そう話しながら金の装飾を施したガラスの靴を履こうとする天道先輩の足を遮り、ガラスの靴を睨み付けると砕かれると思ったのか。
カツカツと音を立てて、走り出した。
「……なにあれ」
「多分、付喪神かな。アレから『へへへ、オレを履いたら死ぬまで踊らせてやる』とか聴こえたから」
私は真似が下手だったのか。
天道先輩は呆れながら苦笑いを浮かべ、逃げていったガラスの靴を見ていると野菜を抱えた句君と小鎌さんに捕まっていた。
「これ、歩いていたけど。誰の?」
「私のよ。句君、履かせてくれる?」
ニヤリと何か企んでいるのがありありと伝わる顔で告げる天道先輩の足元に片膝をついて、ガラスの靴を差し出す句君は意外と絵になる組み合わせだ。
ゆっくりと両足にガラスの靴を履いた瞬間、軽やかなステップを刻み、天道先輩は踊り始める。何か考えがあるのかな?と私達は思う。
「履いた人に合わせて、サイズを変更できるのね。使い方次第では、かなり儲けられるわ。手始めに演劇部に貸し出してみようかしら」
「あらあら、貸し出すの?」
「かすみお姉ちゃん、これは本物のガラスの靴よ?それも自動的にダンスをしてくれる。つまり、シンデレラ役は演技に集中できるわ」
「確かに、ロミオとジュリエットより良いかも!」
「オレじゃ不服だってのか」
そんなことを言い出して拗ねる早乙女君と、困ったように何かを伝えようとするあかねさんにクスクスと笑いながら、古びた道具を調べる。
あとで、サージェスに伝えておこうかな。
そう思っていると意識を取り戻したお爺ちゃんに売れた物の代金を渡してあげると「おー♪︎これだけあれば新しいブラジャーが買える!」と宣言した。
「まあ、盗むよりセーフかな?」
「切さん、感覚が麻痺してるわよ」
「小鎌さん、でも盗むより買う方が健全だよ?」
「それは、そうかもしれないけど」
少し悩んでいる小鎌さんに盗まれるより買って貰ったほうが安全だし、健全だと伝えるとウンウンと唸り始める。未だに小鎌さん達は盗まれてるもんね。
私の下着は盗まないようにお願いしたから取らずにいてくれるから安心しているけど。最近、なんだか他の人が何で盗まれないのかを怪しんでいる気がする。