「一等賞~!」
カランカランとベルを鳴らす商店街の人にキョトンとしながら差し出されたチケットを見る。温泉旅行のペアチケットだ。世界各地の温泉冷泉へご招待…か。
呪泉郷に行けば小鎌さんの悩んでいる特異体質を治せるかもしれないし。句君と二人で行くように進めようかな。本の中にチケットを挟み、お肉と野菜を入れた籠を持っているとあかねさんとかすみさんも一等賞を当てた。
あの抽選会は一等賞何個あるのかな。
そんなことを思いながら早乙女君達と一緒に肉まんを買って食べている句君を見つけ、小鎌さんと一緒に楽しんできてねとペアチケットを差し出す。
「いや、オレと姉ちゃんは護衛だぞ?」
「多分、大丈夫かな」
「大丈夫じゃねえだろ。ライムの事を考えろ、オレよりパワーのあるアイツが本気で襲ってきたら流石に切ちゃんでも危ない」
「句君は考えすぎだよ。私にライム君がそんなことするわけないもん。ねえ?」
「お、おう」
「やっぱり小太刀さんに泊めてもらうね」
何だか変な視線を感じたから小太刀さんに相談しよう。九能先輩も新しい主将を選ぶために頑張っているみたいだし。
「…ところで、早乙女君達は何を食べてるの?」
「ん?これか、串カツだ」
「美味いぞ、食べるか?」
「糸色さんって、串カツ食べるのか?」
ひろし君と大介君も会話に加わり、串カツという食べ物を見せてくれた。あ、うずらの卵だ。こういう揚げ物もあるんだね。
モグモグとうずらの卵を食べつつ、意外と作りやすさを考えてしまったものの。色々と準備や揚げ加減も聞きに行こうかと悩んでしまう。
「今度作ってみようかな」
「マジか。すげえな、切ちゃん」
「そうかな?一度食べれば味付けは分かるし、思い出そうとすれば簡単に思い出せるよ?」
「糸色、また滲み出るぞ」
「え?あ、ソースが垂れてる」
慌てて、ポケットティッシュを取り出して、手首に落ちたソースを拭き取り、食べ終えた後の串を何処に捨てれば良いのかと考えながら句君達と分かれる。
「シャンプー!!」
「私は糸色かな、ムース」
飛び掛かってきたムースを避けて、彼に眼鏡を掛けると地面にしゃがんだまま見上げてきた。
「ん?シャンプーと入れ替わったか!?」
「いや、眼鏡をしっかりと掛けようよ」
「オラも分かっとるんじゃが、どうにも眼鏡が外れてしまうだ。糸色はどうしておるんだ」
「私は普通に掛けてるだけだよ」
そんなことを言いながらも私はムースの手に持っているペアチケットに小首を傾げる。みんなにペアチケットを配っているのかな。
なにか、怪しい気がするな。