あれから一ヶ月が経ち、体育館の中央に並んだ四人に歓声が鳴り響く。
九能先輩、句君、早乙女君、ピコレット・シャルダンの四人はテーブルを囲い、会食のように四方から向かい合い、お互いを見つめ合っている。
その近くに『賞品』という看板を立てた場所に私とあかねさんと天道先輩と小鎌さんは腰掛け、普通に運ばれてきたフランス料理を堪能している。
「両者、席に着いて。食べ方始め!」
その合図と共に高速で食事を開始する四人に応援に来てくれていたクラスメートや先輩、後輩達が九能先輩達を応援し、私達は静かに食事を続けていたその時、早乙女君からお肉がパスされてきた。
「あかねさん、どうぞ」
「え?」
素早く料理を微塵に切り分けて食べる九能先輩、謎の吸引力を発揮して食べているのか呼吸しているのか分からない句君、観客に食事を押しつける早乙女君。口が変形して食べ物を飲み干すピコレット・シャルダン。
みんな、なんとも言えない。
「ウ~ン、流石に凄い事になってきたわね」
「乱馬、押されてるッ」
「九能先輩も食べる速度が…」
だんだんとピコレット・シャルダンの食べ方に気圧され始めてきた三人に私達も焦りつつ、どうやって攻略するべきかと悩んでしまう。
「何か三人の頑張れる事を言ってみる?」
「天道先輩、それはありかも」
「えぇ?本当に盛り返せる?」
懐疑的なあかねさんの気持ちも分かるけど。
賞品扱いされている私達に出来る事は応援することぐらいだから仕方ない。いや、仕方なくはないのかもしれないけど。
しかし、応援できるかな。
「句君、頑張りなさいよぉ~」
「九能先輩、ファイトだよ!」
「えっ、えと、乱馬、頑張って!」
「三人とも頑張りなさい」
私達なりに応援してみると何故か気合いを込めて食べ始める三人に思わず、クスクスと笑ってしまった。そんなに大事に想って貰えているんだと分かって、すごく、すごーく嬉しいかな。
「あと一皿ね」
天道先輩の呟きに、四人はお互いのメインのステーキが乗ったお皿を弾き、誰よりも何よりも速く食べるためにフォークを突きだし、真っ先に食べ終えたのは────。
「っ、御馳走様でした」
一番の拳速を誇る早乙女君だった。
「乱馬が勝ったよ、お姉ちゃん!切さん!」
「ふふ、良かったわねぇ~」
「フフ、すごく喜んで可愛いかな」
私と天道先輩に挟まれて座っていたあかねさんは顔を赤く染め、私のとなりに座っていた小鎌さんは「はーっ、彼氏がいるのは羨ましいわね!」と、ぷくーっと頬っぺたを膨らませる。
フフ、小鎌さんもかわいいかな♪︎