早乙女君と句君の勝負が始まってから今日で三日目を迎えて、天道先輩は自分より力の強い二人に取り合われ(実際は句君の奪い返しに)、すごく疲弊している。
「あかねさん、仲直りしないの?」
「良いもん」
「あかね、それなら私が乱馬貰うある」
「乱ちゃん、ウチが取ってまうよ?」
右京さんとシャンプーに詰め寄られ、モゴモゴとしているあかねさんの気持ちは素直に仲直りしたいというものなんだろうけど。
そろそろ早乙女君と仲直りしないと句君の殺意のボルテージが最大を迎えそうだ。家でも早乙女君を殺す方法を考えているし。
早乙女君、本当に死んじゃわないかな?
チラリと校庭を見ると大鎖鎌を振り回しながら、天道先輩をお姫様抱っこしている早乙女君を追いかけ回す句君が見える。
「じゃあ、ウチらも行くで」
「恨みっこなしね!」
「(小太刀さんにも連絡しておこうかな)」
ぼんやりとムースまで加わった集団に襲われ、涙を流している早乙女君に苦笑を浮かべる。いつもならあかねさんが仲裁してくれるけど。
小鎌さんも今回は句君の味方だ。
「あかねさん、寂しくない?」
「へーき。あたし、慣れてるから」
「フフ、意地っ張りなんだから」
「意地っ張りじゃないもん」
ぷいっと顔を逸らすあかねさんにまたクスクスと笑い、ボロボロになった早乙女君と無傷の天道先輩が教室に入ってくる。
「い、いい加減にしやがれ、あかね!」
「あら、もうお姉ちゃんはいいのかしら?」
「ぐっ、おめえ…!」
「切さん、いこう」
「え?ああ、次移動教室だもんね」
そそくさと移動するあかねさんに話しかける早乙女君。「おい」とか「なあ」とか呟いているけど、あかねさんは聴こえないふりを続けている。
それぐらい、怒っているのかな。
確かに、ここ数日の早乙女君は悪かった。
女の子の乙女心を分かっていないのは仕方ないけど。流石に、私でも驚くぐらい許嫁のあかねさんに横柄な態度を取っていたからね。
「糸色、どうにかしてくれ」
「あはは、ごめんね?今回はあかねさんの味方だから早乙女君の手助けは出来ないんだよね。それに、私まで早乙女君を手助けするのはフェアじゃない」
そう言って私は天道先輩を見る。
薄々気付いていたけど。天道先輩、自分を必死に追いかけるし、圧を掛けて束縛しようとする句君にすごーくドキドキしているよね。
好きな人にそれだけ想われるのは嬉しいし。私も九能先輩にそこまで迫られたらビックリしちゃうけど、すごく嬉しいと思う。
やっぱり、いいよね。