早乙女君の下駄箱に手紙が入っていた。
「まさか、ラブレター?」
「いや、どう見ても果たし状だろ」
早乙女、ブッ殺す!
早乙女、ブッ殺す!!
「……すごい殺意を感じるかな」
三枚とも同じ言葉なのに文字の大きさが違う。一年間の苦楽を共にしてきた早乙女君と句君の対立はいつまで続くのだろうかと悩みつつ、天道先輩もわりと疲弊しているように見える。
小鎌さんも何だか寂しそうだ。
元の鞘に収まってほしいけど。早乙女君もあかねさんもすごく意地っ張りだから中々仲直りに向かえていない。クラスメートも悩んでいるぐらいだ。
「
「なに?シャンプー」
パタンと下駄箱の蓋を閉じ、上履きを履きながら話しかけてきたシャンプーに近付くと手を掴まれ、そそくさと階段下にある用具室に連れ込まれた。
「えと、悲鳴を上げた方がいい?」
「何を言ってるか。それよりもアイツらどうにかするね。なびき、ウソばかり言う。まだあかねのほうがましだったある」
「あー、それなんだけどさ。天道先輩は句君の行動を観察しているんだと思うよ」
「アタルはアホね。アイツ、性悪女に騙されてるね」
性悪女って、ひどい事を言うね。
けど、日頃の強気に攻める句君の困った態度を見るためにやっているとしたら悪いことかな。まあ、完璧に怒ったら私や小鎌さんでも止められないだろうし。
そんなことを思っていると、不意に用具室のドアを叩き斬って九能先輩が現れた。キョロキョロと部屋の中を見渡すと私の事を肩担ぎに抱き上げる。
「ん?」「は?」
「失礼する」
私の事を抱き上げて歩き出す九能先輩に戸惑いつつ、そういえば18歳になるのはもうすぐだったことを思い出した。校長先生に挨拶するのかな?
「校長先生に会いに行くの?」
「うむ、ダディに婚姻届の証人を頼むつもりだ」
そう話し掛けると嬉々として九能先輩は教えてくれた。すごく嬉しそうに笑っているから、なんだか私は嬉しさと恥ずかしさの感情が混ざってしまう。
しかし、いつまで私は肩担ぎにされているんだろう。みんな、チラチラと私の事を見ているし。どうにも恥ずかしくて仕方ない。
いや、本当に恥ずかしいかな。
「……ところで、校長先生は三階だよ?」
なんで応接室に向かっているのかと不思議に思いながら、そう問いかけると笑顔が返ってきた。なんだか、ちょっとだけ恐く感じてしまった。
多分、大丈夫だよね?
「先ずは君の父親に挨拶だ。去年の暮れは何も上手く話せなかったが、ダディも一緒にいる。挨拶は揃ってしようと思ったのだ」
成る程、そういうことですか。