お父さんと校長先生を踏まえて、無事に婚姻届の証人を確保できたけど。あと一人だけ。「残り一人の許嫁」を倒すか説得するまで油断出来ない。
ライム君は許嫁というより、もうお友達だから違うし。最近は気になる女の子が出来たとも言っていた。みんな、真剣に進んでいる。
そう思いながらボロボロにされた早乙女君を校庭の隅で見つけ、話しかける。
「早乙女君、ハッキリと断ったらどうかな?」
「うるへぇ」
「……一人の女の子として言うけど。素直に謝って貰える方が嬉しいよ?それに、天道先輩も本格的にピンチになると思うから」
「どういうことだよ」
「句君というより……糸色家の血筋の問題かな。男の子は、ちょっと好きになった女の子を閉じ込めたいとか自分だけのモノにしたいって思っちゃうらしいんだよ」
「さて、お前らやべえ一族だな」
「フフ、否定はしないかな。まあ、あかねさんの親友として言うけど。早乙女君は少しあかねさんに優しくしないと響君や五寸釘君、他の男の子なんかに好きだって伝える前に取られちゃうよ?」
そう言うとピシリと固まる早乙女君。ウカウカしていられないことを伝える。親友として、私はあかねさんの幸せを願っているし。
早乙女君にも句君の親友として、ハッキリと天道先輩のためにも断ってほしい。そろそろ句君の理性が限界を迎えようとしている。
「小鎌さん、どうする?」
「私に聞かれても困るわ。愛に狂った糸色家の男はもはや妖怪と変わり無いし。私に出来ることなんて乱馬君をブッ殺すことぐらいだもの」
「あらやだ、野蛮」
「そうなるしかないじゃないのよ」
確かに早乙女君が素直になってくれれば良いんだけど。どうして、九能先輩みたいに好きだって言えないのかな。不思議です仕方ないかな。
「はあ、私も彼氏欲しいわ」
「小鎌さんは許嫁とかいないの?」
「居たら苦労しないわよ。まあ、私は鎌の名前を戴いている身だし、本条家の当主になるから婿養子を引き取ることになるのかしら?」
「婿?」
「えぇ、予想するとそれぐらいね」
少し悲しそうに空を見上げる小鎌さんに何かを言おうにも言葉が思い付かず、彼女の背中を優しく擦ってあげることしか出来ない。
それにしても、本当に本条家の人達は大変だ。糸色家は分家筋もそこそこ多いから手分けするのに、小鎌さんが当主になったら更にすごいことになるかな。
いや、それもそれで楽しむ人が現れそうだけど。
「見つけたぞ、乱馬ァーーー!!!」
「オレは何もしてねえ!!」
……やっぱり、仲良しかな。