お風呂を借りて、あかねさんに服を借りたものの。胸のところがパツパツになるため、大きめのパーカーを借りて、そちらを着ている。
恨めしげに見られたけど。
私の場合は母親の遺伝だと思うから仕方ないかな。
もしもお姉ちゃんか妹が居たら変わってたかも知れないけど。お母さんは多忙だから何処にいるのか、お父さんも把握していないからさ。
それにしても、やっぱり小鎌さんが大好きそうな顔をしていると思う。もうすぐ学校も終わるし、そろそろ到着するとは思うけど。
「切さん、大丈夫?!」
「下手人は何処だ。ブッ殺してやる」
「オラの眼鏡を割った仕返しが先じゃ!」
「アホ言うなムース。まずは関係なかった
「やっと着いた、天道道場に!」
ぞろぞろと道場の中に集まってきたみんなに驚きつつ、小鎌さんに手を振ると、全速力で駆け寄ってくるなり、足に上着を被せられた。
「何度も言ってるけど。危機感を持ちなさいっ」
どうして、そんなに怒るのかと不思議に思いながらも九能先輩を見たら羽織を差し出してくれ。私だけに厚着しているみたいになった。
なんで、こんなことになったんだろう?
そう小首を傾げながら句君と小鎌さんに両隣を固められ、私の腰を掴んで抑え込んだ九能先輩の膝の上に座って、私は動けない位置になる。
「???」
「珍しく切ちゃんが困ってるな。姉ちゃん……姉ちゃん?おい、どうかしたのか?」
句君の問いかけに答えず、小鎌さんは未だに気を失っている彼の事を見つめて戸惑っている。いや、すごく顔を赤くしてしまっている。
「小鎌さん、どうしたの?」
「え?あ、ううん、何でもないわよ」
頬を赤らめた小鎌さんを見つめながら九能先輩に聞けば「ふむ、風邪じゃないか?」と言われ、確かに雨が降っているから風邪を引いてしまうかもしれない。
他のみんなは何かを察したみたいだけど。
「……ぅっ、脳天に痛みが」
「お、起きたわね!」
ずずいっと小鎌さんが身を乗り出すと彼も小鎌さんに気づき、目が合ったかと思えばお互いに頬を赤らめ、ふいっと顔を逸らしてしまった。
…………まさか、そういうことかな?とあかねさんと早乙女君を見れば頷き、本条家は百年前に糸色家の血筋を取り込んだ家系────。
ちょっとダメな男の人を好きになりやすいのは知っているし。妙様も類様も例外無く、ちょーっと因縁を持つ相手と結婚しているわけだからいいのかな。
「……とりあえず、姉ちゃんが話すか」
「う、うん、がんばるね」
小鎌さん、すごく可愛い……!