パンスト太郎君の名前は無事に改名できた。
ちなみに改名後はかっこいい太郎を名乗り、何かと献身的に接してくれていた小鎌さんにツンツンとしながらもお礼を言っていた。
それから数日経って、そろそろ中国に帰るのかと思っていたけど。
一向に帰る気配の無いかっこいい太郎君に「オイ。いつ帰るんだよ」と句君が聞けば、小鎌さんと揃って左手を掲げてきた。
「お前の義兄だ。敬え」
ピシリと朝食の空気が固まった。
しかし、私は幸せそうに笑っている小鎌さんの笑顔が綺麗で可愛くて羨ましく思えて納得し、パチパチと思わず拍手を贈ってしまう。
「じゃあ、これからは本条かっこいい太郎だね!」
「……す、すげえ名前だな。愛称は、太郎兄さんか」
「ぐふっ。すべて
「しょう?」
「姉ちゃんの本名。姉ちゃんは本条家の鎌の名前を襲名してる一人だ。まあ、家宝の大鎖鎌を手に入れた姉ちゃんが当主なのは確定したけど」
そういえば、そうだったわね。
けど。婿養子になるわけだから、かっこいい太郎君はそのままでいいのかな?せめて、かっこいいの部分を漢字に直したりすればいいのに。
まあ、個人的な思いがあるんだよね。
「九能君にも見せつけるわ」
「小鎌さん、私が大変な事になりそうだよ」
「好きなら結婚しなさい」
わたしもそうしたかったけど。
お父さんが最後のひとりと戦って諦めさせろと言っていたから難しい。いや、私の事を大事に思ってくれているのは分かるから仕方ないけど。
五人の許嫁に会ったけど。みんな、ものすごく癖が強くて苦手だ。いや、嫌いというわけじゃない。ただ、あまり話した記憶もないから困る。
そもそも私に出来ることは少ない。
「まあ、よく分からんが親父達も認めたんなら良いんじゃないか?あと一年でオレはなびき先輩を落とす。それだけだ」
「(みんな、恋に生きてるなあ……)」
私もそうかな?
幼馴染みと再会して、好きな人になって、指輪も貰ってしまったわけだから、ある意味では少女漫画のような事になっている。
「ところで、部屋はどうするんだ?」
「一緒じゃないの?」
句君の言葉に私が小首を傾げながら問えば「そういえば箱入り娘だったわね」と小鎌さんが苦笑を浮かべつつ、私に教えてくれた。
………………な、なるほど、お嫁さんになるのも大変な事なんだね。私も九能先輩のお嫁さんになったら、頑張らないといけないかな。
「姉ちゃん、何教えたんだ?」
「朝起き後にキスするってジョークを」
「純情なんだから、やめてやれよ」