本条家の現当主───つまり、小鎌さんと句君の父親の連絡を受け、彼の話を聞けば唐突に婿養子にすると言う連絡を受けてこまっているそうだ。
どうやら小鎌さんにお見合いを申し込んでいる人が何人かいるらしく、ダメなら句君に縁談を持ち込もうとしたら天道先輩の話を聞き、色々と終わったようです。
まあ、幸せが一番だからね。
そう諭しながらも二人の父親は呻き、「それが本当に二人の幸せになるのか」と問い掛けてきた。それはまだ分からないかな。
幸せの権利は公平で不公平だ。
「九能先輩、唐揚げどうぞ」
「ムッ。柚子の風味がするな」
「柚子の皮を擂って、衣を作るときに果汁と果肉を加えたんだよ。どうかな?」
「じつに美味しいぞ!」
「フフ、それなら嬉しいかな♪︎」
お弁当を食べていると、九能先輩の頭に向かって早乙女君の足が直撃し、続けて、右京さん、シャンプー、ムース、響君とみんなが九能先輩を踏みつけた。
恐る恐る、靴跡を残す九能先輩を見下ろす。
「えと、大丈夫?」
ピクピクと震える九能先輩の頭を抱き上げ、太ももに乗せて顔の汚れをハンカチで拭き取っていると女の子に変身した半泣きの早乙女君が戻っていて、彼を追いかけるように動物が大進行を続けている。
なんだかすごいことになってるね。
「おのれ、早乙女乱馬ぁ…!」
「んッ……それ、私の胸だよ?」
ガシッと胸を掴んできた九能先輩にビックリしながら、そう伝えると何度も胸を握って来る九能先輩の顔は赤く染まって、グルグルと目が回っている。
「は、恥ずかしいから、離してっ」
「ぬ、ぬおぉおおっ!!?」
彼の手を掴んで離して貰った瞬間、いきなり大声を出しながら九能先輩は走り出して、まるで何かを忘れるために早乙女君のことを追いかけていく。
強いから余計に大変なことになったかな。
「……やっぱり、大きすぎるかな?」
そう自分の胸を触って、九能先輩が困ったように目をグルグルさせていたことを考えて、少しだけダイエットしようかと悩んでしまう。
「あら、切ちゃん、ひとりで何してるの?」
「天道先輩……九能先輩って胸は」
「大きい方が好きよ。九能ちゃん」
「そう、なの?」
「えぇ、五千円で九能ちゃんみたいな男をイチコロにする必勝法を教えるけど。どうする?」
九能先輩をイチコロにする必勝法!
「えと、よろしくお願いします」
「フフフ、教えてあげるわ」
無差別格闘天道流の奥義に、そんなものがあるのかとワクワクしながらお弁当箱を片付け、天道先輩の後ろを着いて歩いていく。
体育倉庫。
こっそりとなびきは男の秘密(ジョーク)を、切に流し込んで遊んでいた。
「そ、そんなことを!?」
「えぇ、男は狼なのよ」
「おとこは、おおかみ……」
「(もっと押せば万はいけるわね)……もっと教えてあげましょうか。句君の上司は切ちゃんだから、安くしておくわよ?」
「お、おねがいします!」