早乙女君とあかねさんを連れて、私と九能先輩もスイカ島に移動したものの。異様な気配を感じるというよりもスイカの群生地に困惑してしまう。
スイカの化け物という絵画もあるけど。
ソイツが根城にしているのかと思いながら槍を早乙女君とあかねさんにも渡しておく。良業物の逸品だから妖怪にも通じるし、もしものときは投げれば良い。
「僕は此処に来ていたのか」
「そうなんじゃねえの?オレとあかねは詳しく聞いてねえけど、九能先輩は奥義を学ぶためにこのスイカ島に来てたらしいからな」
そう九能先輩と早乙女君は話しながら、ごく当たり前のように私達の手を握り、転んだりはぐれたりしないように歩いていく。
無自覚に守ってくれるなんて優しいねとあかねさんと笑っていたら「なんでえさっきからケラケラと」と不満げに振り返った早乙女君の顔色が悪くなった。
「首無しの死体だな」
思わず、そう呟く。
赤色のパーカーを羽織って、スイカに頭を潰された男の子が地面に転がっていた。まあ、そういうところだから仕方ないのかも知れないけど。
供養してあげないとだよね。
「誰が死体だ」
「ムッ。生きているじゃないか」
「ひぃっ!」
「おおおおお、おま、落ち着け!」
「ウ~ン。妖怪変化の類いじゃないかな。ねえ、こんなところで何をしているの?」
「……お前、妙の姉ちゃんの家族だな」
「糸色家だけど、どうしッ!?」
ガギィンッ…!と鈍い音が響く。
鎌を使った攻撃を咄嗟に槍の柄で防いだけど。今のは確実に私の首を狩りに来ていた。もしも槍を構えていなかったら私は死んでいた。
かなり危ない男の子だ。
「君、名前は?」
「キリオ、ただのキリオだよ。妙の姉ちゃんの血筋なら聞いたことくらいあるんじゃないの?」
「生憎、私は親戚と親しく付き合っている訳じゃないから君の事は知らないかな。それに君みたいに綺麗な金髪をしていたら覚えているからね」
そう言って槍を構えつつ、早乙女君とあかねさんに九能先輩の事をお願いするように目配せを送って如意棍槍の柄を強く握り締める。
三人から意識を逸らすことに集中する。
「お姉ちゃん、蛮竜使えない感じ?」
「いいえ、私は当主候補の八位だよ」
「そうなんだ。じゃあ、蛮竜使ってよ。僕が前に進むために蛮竜とどうしても戦わなくちゃいけないんだ。だから、九印も手出し無用だよ」
「分かっている、キリオ」
ぬるりと影を伝って現れた妖怪に目を見開き、先の大戦に鎌を使う式神使いの少年が混ざっていたという話を思い出した。
つまり、この男の子は私より格上だ。