行くぞ大海原 序
夏休み初日。
スイカ島で私を襲ったキリオ君は「とりあえず、僕の仕事は終わったから帰るよ」と言い残し、九能先輩は早乙女君の機転のおかげで無事に記憶を取り戻してくれたようで一安心することができた。
そのおかげで、みんなと旅行に行ける。
「お待たせ、行こっか」
ワクワクとしながら着替えを入れたカバンを持って玄関を出ると小鎌さんは天を仰ぎ、句君は鼻血を流して私の事を見つめていたけど。
小鎌さんに鳩尾に肘鉄を受け、悶絶する。
「切さん、それはもう暴力だわ」
「えと、変かな?」
どこか変なのかな?とワンピースを着た自分の格好を見るものの。特に変なところは見付からず、小鎌さんの言葉に小首を傾げながらワンピースの裾を摘まむ。
「変じゃないけど。ダメな気がするわ」
「そう、かな?」
意外と肩とか涼しくて気持ちいいんだけど。
そう思いながら麦わら帽子を被り、小鎌さんと句君の二人を引き連れて集合場所の天道道場に向かっていると、大きな車に乗った九能先輩が見えた。
「ワゴン車ね」
「荷物は屋根に積めば問題ないな」
「車かあ……」
九能先輩が車の免許を持っている事には驚けば良いのか。それとも九能先輩の助手席か後部座席の何処かに座れば良いのかと真剣に悩む。
「あいやー!!?どうしたね、
「ひゃんっ!?」
「シャンプーなにしてるだぁ!?」
「ムースはオレと行こうぜ。姉ちゃん、ソッチは任せる、男のオレは近づけん」
いきなり自転車に乗っていたシャンプーが現れたかと思ったら、真っ正面から私の胸を掴み、興奮と興味の混ざった声で「本物なのか?!」と何度も聞いてくる。
「ほ、本物だから離して!」
「あいやー、ものすごい山ね。私も負けてられないある、魚介楽しみ、目指せ
「うぅ、なんなの?」
「だから言ったじゃない……」
メラメラと決意を燃やすシャンプー。その先を歩く句君とムースの言葉にも小首を傾げつつ、私の胸がそんなに気になるのかな?と考えてしまう。
大きくても重いだけだよ?
それに汗も溜まりやすいし。拭くときとかすごく大変だから、着込んだりするのも難しい。なにより重ね着すると太って見えちゃうんだもん。
「
「え?えと、好き嫌いせずかな?」
「まあ、奥さまの食育はすごかったからね」
ボソボソと何かを呟く小鎌さんの方を向けば荷物を背負った響君が倒れていた。みんなで行こうと話していたから無事に到着できそうだね。