「二人は既に結婚しているわけか」
そう残念そうに呟いた彼は腰に佩いていた刀の柄に手を置き、僅かに刀身を抜刀した瞬間、九能先輩の剣気は増大した。私も初めて見る刀だけど。
直ぐに使うものとして、分かった。
アレは、妖刀だ。
等級や位列は不明だけど。あの気配と妖気は生半可な強さではない。蛮竜を呼ぶにしても時間が掛かる。かなり不味い状況になっている。
「しゃらくせえっ!」
「男に戻るチャンスだぁ!」
「二度とあの様な屈辱は受けん!!」
「止さんか馬鹿者共がァ!?」
砂を蹴って走り出した早乙女君、ムース、響君の三人を制止する早乙女玄馬の言葉を無視し、彼らは「とうま」に向かって走り出す。
三人は個々の最も得意とする技を繰り出した刹那、彼の身体は透けて消える。無差別格闘流の闘気の具現化とは違う。何か見えない物を打っている感覚───。
「男に用は無いんだよッ!!妖幻乱激弾!!」
そう妖しく光る刀を振り下ろしたその時、地面は爆ぜ、早乙女君達は粉々に消し飛んでいく姿に驚き、九能先輩を庇おうとした私の目の前に「とうま」の連れていた三人の内の一人が現れた。
「お前も来て貰おう」
「ハハハ、悪いけど。お断りかな」
「ならば力付くで連れて行く!」
外套を翻して放たれた無数の羽を槍を旋回して防ぎ、投擲物を砂浜に叩き落とす。経絡系を突く技。私の破傀拳に似ているけど。
この程度の技術は何度も見ている。
「ホウ。我が羽を防ぐか!だが、此方はどうだ!」
「九能先輩!」
九能先輩を狙った羽を防ぎ、呆然と目を見開いて動かない九能先輩の身体を揺さぶる。動かない?違う、意識が無くなっているんだ。
「
「男の人だけを狙った攻撃ってわけね」
「あかねさん、戦える?」
「乱馬達が何もされないなら戦えるけど。多分、アイツらはあたし達を連れ去るために平然と乱馬達を襲うと思う。切さん、小鎌先輩、頼める?」
「……はあ、親友の頼みだからね」
申し訳なさそうに私を見るあかねさんに苦笑を浮かべ、九能先輩の近くに如意棍槍を突き立て、彼らに従って抵抗を止める。小鎌さんにも目配せを送る。
「チッ。次にやるときはブッ殺す」
「何故、オレにそんなに怒るでござる!?」
「黙れ。猿」
小鎌さんは不満そうに怒り顔のまま闘気を振り撒き、四人の事を威圧しながら私とあかねさんを守ってくれる。九能先輩、待ってるからね。
「ちょうど百人揃ったわけだ」
「えっ、百人も娶るの?」
「違う。選ぶのは一人だけだ!」