何だかんだと恋運ぶ呪いの花   作:SUN'S

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拐われた花嫁 急

シャンプーを探すためにトタトタと巨木の中を切り抜いて造ったであろう屋敷の中を歩いているとき、視線を感じて後ろに振り返ると仮面を着けた男がいた。

 

「昨日の砂浜の人とは違うかな。だれ?」

 

そう問いかけると暫しの沈黙の後、クツクツと笑う声が仮面越しに聞こえてきた。どうやら本当に別人に取り代わっていたらしい。

 

「ククク、流石は糸色の血筋だな。儂の姿を容易く見抜くとは恐れ入る」

 

仮面と外套を振り払って現れたのは白髪に青い瞳の青年だった。どこかで見た覚えのある顔付き。上手く思い出せないけど。

 

なんとなく私は彼を覚えている。

 

「……まさか、あなたが奈落?」

 

「…………クッ、ククク、儂は奈落ではなく分身の白童子だ。それと主に会いに来たのは桃幻郷の近海に五十年周期に姿を顕す蓬莱島に向かうためだ」

 

「ほうらい……蓬莱島?」

 

「そうだ。あの島には戦国最強の武士(もののふ)たる戦骨が封じ込めたという最強の妖怪が眠っていると言う。お主に蛮竜を振るえるのなら明日は儂に着いてこい」

 

そう言うと彼は私の手枷を斬り、消えた。

 

彼の頭に差していた風切羽の髪飾り。

 

確か本家の書庫の何処かに載っていた筈だけど。少し思い出せないわね。けど、やっぱり奈落と戦うのは糸色家の宿命なのかな────。

 

「(白童子、蓬莱島には何の妖怪が?)」

 

糸色(スースァ)、こんなところに居たあるか」

 

「シャンプー?どこから」

 

「この上、蔦を登って隠れてたね。それより海の向こう、変な気配がする。みんな早くこの島から逃げた方がいいよろし」

 

「確かに、そうだね」

 

「此方ね。みんな集まってるよ」

 

私の手を握って歩き出すシャンプーに優しさを感じつつ、あの仮面の男は何処に行ったのかと悩んでしまう。妖怪・白童子、強さは間違いなく私以上だ。

 

いや、下手したらお爺ちゃんより強い。

 

「……待って。お見合い更衣室ってなに?」

 

「ここで着替えるね。私も糸色(スースァ)もほぼ裸みたいな水着着てる。男は狼、分かたね?」

 

「ビキニを選んだけど。変かな?」

 

「とても似合ってるね♪︎」

 

にこやかに言ってくれたシャンプーに安堵しながら更衣室の前に陣取る桃磨の傍に控えていた三人に遭遇した瞬間、三人の視線が私に向く。

 

「「ありがたやありがたや」」

 

「えと、どういう?」

 

「変態は無視するよろし!」

 

よくわからないけど。

 

私は心も身体も九能先輩にあげるって決めているから他に誰かを好きになることはないかな。例え負けそうになってもそれだけは変わらない。

 

 

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