「砕け散れぇい!一文字流奥義、烈風剣!!」
「覇極流秘奥義、渦流天樓嵐!」
兵士を切り裂く斬撃の突風を巻き起こす九能先輩の剣圧を巻き込み、お見合い会場に残っていた兵士達を纏めて吹き飛ばし、意識を刈り取っていく。
しっかりと峰打ちに留めている。
「さて、私達はどうしようか?」
「無論、級友と後輩の救出だ!」
「フフ、当然だよね」
九能先輩の言葉に頷き、小鎌さんとかっこいい太郎君の二人に合図を送る。もしものときは二人だけで帰るか仲間を連れて戻ってきてほしい。
そう思いながら、みんなの連れ去られたドアに向かって走ろうとしたそのとき、白童子がシャンデリアの上に登ったまま此方を見下ろしていた。
まさか、もう?と少し焦りを抱きつつ、瞬きをすると消えてさまった。
「切君、大丈夫か?」
「え?ああ、大丈夫かな」
まだ時間はあるみたいだ。
それよりも気になるのはみんなの事だ。
「九能先輩、急ごう」
「うむ!」
廊下を走り、分かれ道を勘だけで進んでいく。
「早雲さん!かすみさん!」
「ん?おお、切君と九能君じゃないか」
「あら、切ちゃんも来ていたの?」
にこやかに笑いながら天道早雲の足元には無数の人間が転がっており、かすみさんはいつもと変わらずにニコニコと笑っている。
特A級達人の天道早雲を倒せるのは同等の強さを持つ早乙女玄馬か妙様ぐらいだろう。しかし、ずいぶんと派手に戦っているかな。
「お父さん、お料理に戻りますね」
「ああ、うんと美味しい料理をご馳走してあげなさい。私は不埒な輩を懲らしめているからね!」
「九能先輩、この感じだと他の場所も問題ないんじゃないかな。少し、寄り道したい場所があるんだけど。お願い出来る?」
「構わないが、何処に向かうのだ?」
「近海の島に行きたいんだよ」
そう言って私はうっすらと見える島を見据える。
蓬莱島。
あそこに白童子は向かった。
私と蛮竜が必要になると言っていたから、おそらく妖怪に関わる出来事だと思う。下手したら大怪我をするかもしれない。
不安と焦りを感じるけど。
「槍よ、来い」
グッと右手を窓の外に突き出した瞬間、青白い雷撃を纏って飛来してきた蛮竜が右手に収まり、九能先輩は「相変わらずの忠犬ぶりだな」と感心している。
けど。大鉾だから居ぬじゃないかな。
苦笑を浮かべ、蛮竜の刀身を踏みつけ、窓の外に飛び出すと熱風が吹き荒れ、空に舞い上がる。桃幻郷、かなり大きいとは思っていたけど。
東京タワーより大きいかも知れない。
まだ一度も登ったことないけど。