上半身だけ窯から飛び出た飛妖蛾の放つ爆発する鱗粉攻撃を熱風で焼き焦がし、全身を駆け巡る霊気ではなく妖気の濃さに身体が軋み始める。
「蛮竜、蛮竜ウゥゥーーーーッ!!!」
「ハハ、ハハハ、戦骨という人はどれだけ怖かったのかすごーく気になってきたかな!!」
含牙戴角の穂先を地面に突き立て、真下に冥道を開いて攻撃を吸い込み、石突きの上に立ったまま蛮竜の刀身を金剛石に作り替える。
反動はキツいけど。
不完全の大妖怪を吹き飛ばすなら金剛槍破を放つしかない。ゆっくりと大鉾を担ぎ上げ、妖気と霊気の衝突する匂いを舌先で感じ取り、一気に振り下ろす。
「金剛槍破ァ!!」
「グッ、カァーッ!!」
私の放った金剛槍破を受けて溶解していた羽が消し飛んだその時、目映い閃光と共に放たれた極光を受け、地面を削り、木々を砕き、瓦礫を潰し、私は血を吐いて焼ける地面に両膝を落としていた。
「(何を受けた?見えなかった……光?光?)」
蛮竜の結界が無かったら消し飛んで───フフ、フフフ、妙様や類様はこんなに恐ろしく、とてもスリリングな日々を送っていたんだ。
そりゃあ、強くなるわけですね。
「オイ。死ぬなら別の場所で死にな」
─────風の薫り。
「……貴女が、神楽?」
「白童子の野郎、アタシの名前を教えやがったな。まあいいさ。糸色、もう一発来るよ。蛮竜の技で纏めて返しておやり」
「蛮竜の技って、金剛槍破は効いて……」
「ここ百年の間に何人も見てきたが、アンタなら自由に使えるさ。アタシの風を追ってみな」
そう言うと扇子を開く神楽の放った風の薫りが僅かに空気の裂け目を教えてくれた。成る程、彼処に添って蛮竜を振るえば────。
「それが、風の傷だッ!!!」
蛮竜が閃光を巻き込み、風の斬撃を巻き起こして飛妖蛾の右腕を吹き飛ばす。神楽にお礼を言おうとしたものの、彼女は消えていた。
風切り羽の髪飾り。
「切君、今のは?」
「多分、蛮竜の遣い手の基本技かな?小手先や目先の大技に頼りすぎて基本技を使えていなかった事を思い出したよ。九能先輩、満願丸を貸して貰える?」
「ああ、構わないが」
「ありがとう」
ゆっくりと鞘に納まった満願丸を受けとり、私の霊気を込めて九能先輩にそのまま返す。北海道の糸色ほどじゃないけど。
私の巫女としての霊気を込めた霊刀だ。
「含牙戴角も馴染んできた様だな」
「白童子、九能先輩、二人の霊気と妖気を最大出力で飛妖蛾に向かってぶつけて欲しい。そこ「蛮竜の奥義をぶつけて、アイツを倒す」
「分かった、任せよう!」
「面白い。手伝ってやる」
フフ、ありがとう。