「けえぇえいっ!!!」
裂帛の叫びを上げながら何度目かも分からない九能先輩の闘気を受け、飛妖蛾の身体は削れては再生を繰り返している。やっぱり三人同時に奥義を放つしかない。
けど。そのタイミングがない。
「このままだと先にお主らの気力が尽きるか。兄者、魍魎丸の身体はどうだ?……チッ。奈落に幾分も吸われた影響はまだ残っているか」
「おのれ、ヘンテコなアンテナを着けた妖怪めが」
「せめて、人手があればね」
「簡単だ。切、呼べば良いだろう」
そう言われても連絡する手段はないよ?
いや、一人だけ呼べるかも。
「乙津さん、聴こえる?」
『聴こえるわよ。超能力者だからね♪︎』
「手伝って貰えるかな?」
『その言葉を待っていたぜ♪︎』
脳内に響く彼女の声を聴き、蛮竜を担ぎ上げ、フワリと目の前に降り立った女の子を見据える。去年の夏休み、蛮竜が必要になると教えてくれた乙津静海が、セーラー服で現れた。
しかも、魔女先輩を連れてきてくれた。
「うふふ、場違いじゃないかしら?」
「まあまあ、良いじゃない♪︎それよりも目の前にいるヤンチャな妖怪をブッ倒すんでしょ?」
「魔女、貴様は卒業しただろう。何故にセーラー服を着ているのだ!」
「乙女の戦装束というものさ」
そう言うと魔女先輩はケータイを取り出す。やっぱり、アレの名前を知っているのは不思議に感じるけど。どこかで読んだ記憶はある。
「とりあえず、五人揃ったわけだぜ♪︎」
「静海、お主の采配だろう」
呆れる白童子にピースサインを贈る乙津さん。
「ウー・ザザレ」
魔女先輩は呪文を唱えて、剣を取り出す。
「ツカサに用意して貰った獣奏剣の模造品だけど。よくもまあ、手酷く別れた交さんに好き勝手に頼めるなと私は思うのだけれど。切さんはどう思う?」
「誰かは知らないけど。ダメじゃないかな」
浮気はダメだよ。
許せないね。
「切ちゃんは過激だね♪︎」
「ウチの家系は交際イコール結婚だからね!」
フンスと胸を張って飛妖蛾の放つ極光を避け、魔女先輩の奏で始める変わった音色によって目の前の動きが鈍くなり、乙津さんの手から出てきたビームが飛妖蛾のお腹に直撃する。
……やっぱり、少しずつ出てきている。
「みんな、あれ以上はダメだよ」
「巨人相手は疲れるものね」
「切君は溜めに入ってくれ」
「うふふ、金剛槍破かしら?」
「なんでも良い。儂は勝てればいい」
ゆっくりと妖気と霊気を身体を使って循環し、蛮竜の刀身は金剛石に変化していく。金剛槍破。妙様が宝仙鬼という妖怪に学んだ最強の破邪の一撃────。
私の全身全霊の霊気を込める。