「超力招来!念力パーンチ!」
可愛らしくパンチを繰り出す乙津さんの動きをトレースするように紫色の巨大なエネルギー拳が出現し、飛妖蛾の顔を殴り潰し、そのエネルギー拳に乗っていた九能先輩と魔女先輩が続け様に斜め十字を描く。
「暹氣龍魂!!」
「暗黒魔導斬り!」
「ぐぬぉあっ!!」
目を切り裂かれた飛妖蛾は顔を覆った瞬間、僅かに見えた心臓に向かって蛮竜に溜め込んだ霊気と妖気の混ざりあった金剛石の槍を放つ。
「金剛槍破ァ…!!」
破邪の霊気を込めた一撃は飛妖蛾の身体を粉々に粉砕し、貫き、滅ぼす。五百年の年月を生きてきた大妖怪を倒すために全身全霊の一撃を振り絞った。
もう、限界……!
「これだけ砕けば問題ない。含牙戴角、仕上げだ。冥道の中にヤツを呑め!!」
その一言と共に放たれた斬撃は黒い三日月を作り出し、その中に飛妖蛾の身体を呑み込み、斬り刻み、存在その物をあの世に引きずり込んでいく。
蛮竜を手離して地面に座り込んでしまった。
「はあ…はあっ……ゲホッ、ごほっ…」
本当、限界すぎるかな。
「良いところだけ持っていったわね。白童子」
「良いんじゃない♪︎私は、パンチしただけだからね。九能君もかなり闘気を使ったから限界を迎えているみたいだし。切ちゃんを傍に置いておくぜ♪︎」
「うふふ、面白そうね」
「切、含牙戴角は糸色に預けておこう。冥道を其奴に分けたという事は未来に必要とする者がいるということに相違ないからな」
そう言うと妖馬に股がって飛び立つ白童子の事を見送りつつ、私の胸に顔を押し付けながら、気を失ったようにイビキを掻いている九能先輩の頭を撫でてあげる。
とりあえず、終わりで良いのかな?
「九能君たら起きないわね」
「羨ましいなあ♪︎」
「魔女先輩、乙津さん、ありがとう。二人のおかげで勝つことが出来たから、またお礼をしたいかな」
「べつに良いわよ。私は蓬莱島っていう素敵な実験場所を手に入れることが出来たし。静海は久しぶりに力を使えて満足している」
「それでも、ありがとうかな」
私の言葉に呆れたように笑った二人に抱き上げられ、私と九能先輩は空に舞い上がる。二人とも自由に空を飛べるのかと驚きつつ、桃幻郷に向かって飛び抜ける。
蓬莱島─────。
次に会うのは五十年後だね。次に来たら、今度は隅々まで探検して、みんなと楽しむからそれまでお別れ。じゃあ、バイバイ。
「切ちゃん、何か言った?」
「フフ、何も言っていないかな」
みんなで、また楽しもうね。