なんとか桃幻郷に帰ると争っていた筈のみんなが仲良く話し合っているのが見え、ボロボロの私と九能先輩に気付いたあかねさんが悲鳴を上げてしまった。
「お、お前ら何してたんだ?」
「野暮な事を聞くんじゃねえよ。乱馬、九能のヤツは襲って返り討ちに遇ったに違いねえんだ」
「お、おおう」
「フン。無理やり襲うなど見下げ果てただ」
「帯刀先輩、マジかよ」
ワイワイと盛り上がる男の子達の言葉に小首を傾げながら近付いてきたあかねさんに「そ、そんなに激しかったの?」と小声で問われ、更に困惑してしまう。
一体、何を言っているのだろうか?
「んがっ……うっ、僕は眠っていたのか?」
「えぇ、寝てたわ。ついでに誤解を生んだわ」
「さっさと訂正してきなさい。おばか」
「誤解?」
天道先輩と小鎌さんの言葉に九能先輩は困惑しながら早乙女君達のところに向かい、何か詰め寄られているのが見えた。
よく聴こえないから近付こうと、みんなが近付くので私も一緒に近付き、九能先輩と早乙女君達の会話を聞くことになった。
なぜか桃幻郷の人達も一緒だけど。
「く、九能先輩、したのか?」
「したとはなんだ。主語を言え」
「ぐっ。だ、だからよ。糸色としたのか?」
「ムッ。そういうことか」
「(どういうこと?私と九能先輩がなにをしたの?)」
私以外のみんなは分かっているのか。ワクワクしていたり、わざとらしく溜め息を吐いたり、かっこいい太郎君は何でか小鎌さんの事を見つめている。
「切君とは確かに激しく
「「「お、おおおおっ!!」」」
なんでそんなに興奮するのかな?と小首を傾げているとシャンプーが耳元に顔を近付けて教えてくれた。そっ、そんなことはしていません!!
九能先輩と私は戦いに行っていただけなの!
そう叫びたい気持ちを落ち着かせて、だんだんと暗くなってきた空に何とも言えない気持ちになりながら、顔が熱くて恥ずかしい気持ちになる。
「そろそろ夜になる。みんな屋敷に入ろう」
桃磨の言葉に頷いて歩き出すみんなから離れたところを歩き、九能先輩の手を掴み、屋敷に向かっていた足を止めて、少し離れた森の中に連れていく。
「……九能先輩は分かってていったの?」
「ウッ、その、すまない。少し意地を張ってしまった。女の子の切君には恥ずかしくて嫌だったな。すまない、僕は自分の意地を見せるために君を傷つけた」
そう言って深々と頭を下げる九能先輩の手を握り、うなじを擦りながら上目遣いで彼を見つめる。
「……し、したいの?」
思わず、そう聞いてしまった。
桃幻郷、屋敷の中────。
「(切さん、私は貴女の名誉を守るわ)」
「姉ちゃん、切ちゃんどこだ?」
「アンタはなびきと遊んでなさい」