一週間のバカンスを終えて、私達はドタバタと忙しく忙しない夏休み開幕の一週間を過ごした気がする。いや、実際に過ごしたんだろうけど。
白童子の残していった含牙戴角は妙様のご息女である巓様に渡ることになり、冥道残月破は彼女を選んだということになるのかな。
それなら、問題はない。
「切君、居るか?」
カランカランと喫茶店のドアを動かすと聴こえるベルの音と九能先輩の声が聴こえて、本を読む手を止めて、そちらに顔を向けると胴着姿の九能先輩がいた。
「九能先輩、どうしたの?」
「最後の一人を教えて貰った」
「……誰だったの?」
「名前は聴けなかったが、少なくとも君を狙っているという事実は変わらない。いや、婿養子に成ろうとしているのかも知れないが……」
「あはは、そっか」
ちょっとだけ残念かな。
けど、お父さんが厄介だと言っていたから警戒はする。私の弱点は乗り物酔いだから、乗り物に乗っているときに来るかな?
「先手を打つために結婚しよう。切君」
「はえっ!?」
「僕は君を失いたくない。既に僕は18を迎えた、もはや障害になり得る物は存在しない。どうだろう?学生結婚になってしまうのだが…」
「えと、あの、ま、マスター!」
「おじさんに振るのは無しだぞ。男の一世一代のプロポーズだ。それに、嬢ちゃんだってソイツが好きなら素直になっていいんじゃねえか?」
「うえ、と……お、お受けします…」
「ウム!ウム!!ウム!!!」
力強く私を抱き締める九能先輩に戸惑いつつ、嬉しさと恥ずかしさに顔を熱くしながら、九能先輩の抱き締め返すと照れ臭くて顔を彼の胸元に埋めてしまう。
「えへへ」
「熱々なのは構わないが、此処は喫茶店だからな?」
「「ッ……コホン」」
マスターの言葉に我に帰ってキスをしそうになっていた顔をお互いに離す。恥ずかしいのに、ちょっとだけ残念に思う。
「まあ、結婚したらケーキでも作ってやるよ」
「はい。ありがとうございます」
そう言って私と九能先輩はマスターにお支払を済ませて、校長先生とお父さんの二人に話して、しっかりと認めて貰うことにした。
今度こそ認めてもらう!
お母さんにも来てほしいけど。どこに居るのか全く分からないから、すごく心配になる。小鎌さんと句君に聞けば探してもらえるかな。
もしも会えるなら結婚することを伝えたい。
お祝いしてほしい。
せめて、私が大人になったんだって見てほしい。九能先輩の事も紹介して仲良くもしてほしい。私は欲張りだから、みんなに認めてもらいたいんだ、