夏休みの特訓 序
無事、結婚しました。
まだ結婚式はしていないけど。自分達の結婚式ということもあり、九能先輩と話し合って自立し、しっかりと成長したときにしようと約束して誓った。
「というわけで、九能切になりました」
「おめでとう!結婚式には呼んでね!」
「親友スピーチを頼むかな」
「フフフ、任せて!」
そうあかねさんの部屋で話していると、窓ガラスを突き破って変な気弾が飛んできたものの。私とあかねさんに届かず、消失した。
アレは新しい技の特訓かな?と考えながら手慣れた動きで窓ガラスを新しいものに直し、窓ガラスの破片をその体毛に吸着させて、のそのそと屋根の上を歩いていくパンダ姿の早乙女玄馬を見送る。
「ちくしょおーーっ!!なんで出ねえんだ!?」
「……早乙女君、何かあったの?」
「あたしも詳しくは知らないんだけど、良牙君の身に付けた新しい必殺技に負けて悔しいんだって、あと自分の気弾が負けたのもムカつくみたい」
「まあ、万物の点穴を見抜ける眼を持つ響君ならそういうことも出来るんじゃないかな。気弾を撃つとき、体外へ力の塊を押し出す分、そういったことに精通しているのは、とても有利だからね」
私の言葉に納得するあかねさんは動かない気弾やグルグルと回り始める気弾に苦笑を浮かべつつ、どうしたものかと悩んでいる。
実際、気功法を教えるのは難しいかな。
それに、早乙女君は教える大変なことばかりするし。あんまり糸色流の気功法を教えるのはお勧めしない。他にも理由はあるけど。
一番の問題はそれかな?
「糸色、ちょっと聴きてえことがある」
「内容によるかな」
「獅子咆哮弾って知ってるか?」
「知っているけど。教えない……いや、少しだけ違うかな。獅子咆哮弾は
獅子咆哮弾はネガティブな気持ちを利用する分、ナイーブな人ほど使える奥義だ。更に付け加えると早乙女君みたいな基本的にポジティブな人には使えない。
「そんだけ強い技って事か。絶対に良牙より先にマスターしてやる!!」
そう言うとまた特訓を始める早乙女君。
「切さんにも使えない技はあるのね」
「私を何だと思っているのかを聴きたいけど。事実、私に獅子咆哮弾を使えない理由は人に恵まれて、良いことばかりだからだよ」
「……乱馬に教えられない理由って、まさか」
「彼、ポジティブだからね」
あるいは、自信満々に生きている。
そういう人に獅子咆哮弾は使えない。