マンションに帰ってきた。
男物の革靴。それからサンダル?
多分、お父さんかな?と小首を傾げながらリビングに繋がる廊下を歩いていたその時、ドンとお腹に強烈な衝撃を受け、くぐもった呻き声を上げ、吹き飛ばされ、玄関のドアに背中をぶつけてしまう。
「ごほっ、ごほっ…!」
靴を蹴って散らかしながら咳き込み、ズキズキと痛むお腹を押さえつつ、ゆっくりとリビングのすりガラスのドアを開け、廊下に出てきた人を見上げる。
「お、お母さん…?」
「四年ぶりかしら?
お母さんが、
ひんやりと嫌な汗が背中を伝う。
まさか反対するためにやって来たのかと思いながらスカートの中に手を伸ばし掛けるもそれよりも早く手首を掴まれ、ぎゅうっと抱き締められた。
「え?あの……?」
「大きくなったわね」
「……はい、高校二年生です。お母さん、私はもう高校生になっちゃいましたよ?会いに来て欲しかったです、入学式も見て欲しかった……なんで、お父さんと一緒に居てくれなかったの?」
「色々と事情はあるんだけど、私の仕事だ」
「お母さんの、仕事?」
リビングのソファに座っているお父さんに視線を向けると考え込んだ後、お母さんと私の事を手招きした。リビングには小鎌さんも句君もいない。
私達、糸逢家の家族だけ。
「切、母さんの仕事はかなり特殊だ。確かに彼女はシャルダン家と交流していたり、変な技術を持っていたり、あからさまに若作りしているが、真面目な人だ」
「目君、あとでぶん殴るわよ。……まあ、年頃の子供に教えるには厳しいと思ったのよね」
そう言うとお母さんはズボンのポケットに手を差し込み、銀色の刀のついたネックレスを取り出した。どこかで見覚えがあるような?ああ、マスター・バタフライの持っていたものに刀の柄に少し似ているんだ。
「私は異世界に行っているのよ。ああ、皆まで言わなくても分かるわ、あり得ないと言いたいんでしょうけど。そういうものだから仕方ないのよ」
いせかい?異世界?
ファンタジー物の本の話しかな?
「ちなみに私は穴埋めね」
「えと、どう答えれば?」
「好きなように考えなさい。まあ、本当の事だから貴女もいつか連れていってあげるわ。ちなみに目君なんか『俺は信じない!』『こんなものはトリックだ!』って大絶叫していたんだから」
「お、お父さんが?」
「……昔の話だ。今はもう慣れている」
じゃあ、本当に異世界に行っているのかな?
【概要用語解説】
本作の単語や転生者に関する事を解説します。
【
【挿絵表示】
旧姓「
年齢は三十代後半。身長169cm。
「らんま1/2」の物語の世界に極々普通の家庭の三女として生誕した転生者。高校時代、糸逢目と出会って妖怪関連の出来事に巻き込まれ、「少年漫画の王道的ボーイミーツガール」を経験し、卒業と同時に結婚した。
自他共に認めるナイスバディであり、若作りしているため二十代前半に見える。変な出来事に巻き込まれやすい可愛く想っている最愛の一人娘の「切」と過ごせない日々に鬱憤を募らせるスキンシップ下手である。
転生する際に選んだ「特典」は「転生掲示板の運営権」と「時空を越える能力」。
一つ目の特典「転生掲示板の運営権」は文字通り。二次創作の定番の一つ。「転生者達に掲示板を与える」「転生者は掲示板に書き込める」という二つの能力を授ける事が出来る。
ただし、最近は面倒臭くて見ていない。
二つ目の特典「時空を越える能力」は並行世界や過去と未来を自由に移動する能力。掲示板の情報を得て、旅行や危機を回避するために使用している。
しかし、すでに敗北した世界線には飛べない。
「髪下ろし」
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「背面・前面」
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