お母さんとお父さんの赤裸々な日々を聞いて、少しだけ恥ずかしい気持ちになりながら夏休みだというのに、校長先生の思い付きで私と小鎌さんと句君はいつものように登校している。
ああいうのは、聞きたくなかった。
「切ちゃん、どうしたんだろうな」
「多分、奥様のせいでしょうね」
「ああ、確かにそうか」
「……お母さんって、そういう認識なの?」
「存在その物は善を騙る悪性存在だな。いや、悪い人じゃないんだが、ガキの頃の姉ちゃんが『は~い。どんどん仕舞っちゃおうね~』って洞穴に詰め込まれて……ウッ、オレは何を?」
頭を抱える句君の隣を歩いていた小鎌さんは当時の出来事を思い出してしまったのか。ガタガタと上下に激しく震えて、顔を真っ青に染めている。
そんなに怖かったんだ。
でも、私の目がこうなったときは本当に怖いくらい怒ってくれていたかな。一度、糸方もあの世に連れていかれたとか何とか聞いていたけど。
アレって比喩じゃ無かったんだ。
ちょっとだけ納得していると、登校途中でも特訓中の早乙女君の放った気弾が曲がり、句君のボディーにめり込み、電柱とアスファルトブロックを粉砕し、真後ろに向かって吹き飛ばされた。
「乱馬ァーーーーっ!!!!」
「ちがっ、わざとじゃねえぇ!!!」
「……バカね」
「あ、あはは」
笑って誤魔化す私と辛辣な言葉を呟く小鎌さんの近くを通り抜ける人影に視線を向け、投げ放たれた手裏剣を私達は受け止め、そのままカバンに投げ付ける。
「今のヤツは刺客かしら?」
「さあ、悪戯かもしれないかな」
「まあ、そうでしょうね。雑すぎる」
そう言うと小鎌さんは方向転換して戻ってきた男の人に大鎖鎌を取り出して振り下ろした瞬間、見事に頭を打って倒した。
「鎌の刃に集中しすぎよ、未熟者」
なんだか先生みたいでかっこいいかな。
「OH!糸色さんと本条さんもしっかりとやって来たみたいデース!しかし、Boy達は何故喧嘩しているのでショーか?」
「日頃の行いかなあ」
「言い得て妙ね」
校門の近くに立っていた校長先生……お義父さんに挨拶を済ませて昇降口の下駄箱を開けた瞬間、バサバサと大量の手紙が溢れ、落ちてきた。
「? なにこれ?」
「これは、ラブレターだわ!」
「なびき、ちゃんと来てたのね」
「まあね。それよりも切ちゃんに、女子高生人妻の切ちゃんにこれだけラブレターを差し出すなんて、ウチの男子達は随分と変わった趣味を持っているみたいね」
「小鎌さん、どういうこと?」
「貴女は、聞かない方がいいわね」
そう促されて耳を塞がれてしまった。