何だかんだと恋運ぶ呪いの花   作:SUN'S

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激気特訓中 破

翌日、天道道場。

 

「うん、激気の流れは掴んでいるかな」

 

「ヘッ。こんくらい朝飯前だぜ」

 

そう言って自信満々に強気に胸を張っている早乙女君の真向かいに移動し、ゆっくり竜ではなく蛇の手形(しゅけい)に構え、袖口から指先を覗かせる。

 

「私の流儀は激獣スネーク拳。激気を纏って己が心のままに激獣タイガー拳を感じて、考えて、しっかりと覚えておけば、獅子咆哮弾を完全に極めた響君にだって貴方は勝てるわよ」

 

「おう!」

 

私の言葉に早乙女君は頷き、自分の思うがままに身体を構える。普段の両手を上げた構えではなく、腰に手を溜め、地面を力強く踏み締める。

 

スピードに秀でていた早乙女君に大型猛獣の力を手にする激獣タイガー拳は相性は良いのかもしれない。そう思いながら道場の床を蹴り、素早く放たれる大振りな左右の爪による攻撃を弾き、往なす。

 

受け流しに行けば逆に力負けするかな。

 

「しゃらあっ!!」

 

「激気を込めるのと、激気を放出するのは違うよ。放出する方が強く感じるかも知れないけど」

 

手首を掴み、勢いを利用して投げ落とすと同時に人差し指の指先を早乙女君のおでこに押し当てる。

 

「ぐっ。参った」

 

「フフ、何も分からなかったかな?」

 

「……教えてくれ」

 

「早乙女君も制空圏は築けるよね」

 

「まあ、そんくらいは出来るぜ」

 

「蛇は感知能力に秀でているんだよ。其処に制空圏を加えると今みたいに技の軌道を予測して、起こることすら分からずに投げられる」

 

本当は掴むと砕くもあるけど。

 

まあ、それは後で教えようかな。

 

「タイガー拳の達人もいるし。響君と戦い終わったら連絡してみようか。多分、早乙女君ならすごく仲良くなれると思うからさ」

 

「タイガー拳のヤツもいるのか!」

 

私の言葉に嬉しそうに目を見開いた早乙女君は直ぐに立ち上がって、構え直す。タイガー拳の良いところはバランスもそうだけど。

 

心技体のすべてが、均一に育つところかな。

 

それに、タイガー拳はバット・リー曰く「タイガー拳は、怒りの拳魔の振るうベアー拳に匹敵し得るライオン拳に並ぶ流儀だ。使い手もまた相応の強さを持つ」と言っていましたからね。

 

「もう一回だ。今度は当てる!」

 

「うん。期待しているよ、早乙女君」

 

そう言うと駆け出してきた早乙女君の動きは先程よりコンパクトに変化し、前傾姿勢と違って理合を組み込んだ虎の象形拳になってきた。

 

うん、すごく良い感じになっている。けど、激気の放出と収束は未だにズレを生んでいる。もっとコントロールを高めれば良いんだけどな。

 

 

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