体術の特訓と激気のコントロールを学ぶ日々を続けて一週間ほど経過し、早乙女君は激気を十分に使えるようになったけれど。
初日に感じた違和感は拭えない。
「(バット・リー様に聞いて分かるのかは謎だけど。もしも、あれが過激気なら早乙女君はマスター・シャーフーの考案していた心技体の
そんなことを思案しながら早乙女君の事を見つめる。激気は強さを増しているが、集束率は変わらず、早乙女君の気質によるものなの、かな。
物事に集中することが苦手みたい。
あるいは、溜め込める量に限度あり。
激気の最大出力を「100」とした場合、私は最大出力「70」程度の激気までなら暴走せず、ギリギリまで自在に使える。しかし、早乙女君は常時「100」だ。
蛇口を限界まで開いている様な状態だというのに、いっこうに気疲れする様子もない。しかし、今の早乙女君は悩ましい状態ではある。
使える激気の量は常時最大出力。獅子咆哮弾の完全版と渡り合える可能性はある。が、獅子咆哮弾の完全版に負けた場合、手段は無くなる。
「咆咆弾!」
「大蛇砲」
早乙女君の放つ赤々と燃え盛る虎の気弾に対する私の放った蝋燭の火のように静かに燃える蛇の気弾は衝突し、お互いの身体を切り裂き、噛みつき、削り飛ばす。
「ぐっ、ぬおおぉ!!!」
「吠えずに激気を高めて注いで下さい」
「わかっ、分かってる!」
ビリビリと空気の振動する道場内を覗く視線の彼女達は気持ちは分かる。自分の大好きな人が頑張っているのなら応援したくなるものだ。
「早乙女君、飛竜昇天破を使うときと同じように氷の心を用いて下さい。心を静め、己が心のままに獣を身に宿してしまえば良いんです」
「氷の心……こうか」
刹那、虎の象形は色を強め、爪牙を振るう勢いも増している。良い感じに仕上がり始めた。が、熱くなりやすい早乙女君があの状態を維持できるのは、おそらく二分か三分だろう。
「ぐっ、ぬっ、ぜあっ!」
「んっ……一応、合格かな」
虎に巻き付いていた蛇を弾き飛ばし、私の身体を僅かに退けた。あとは基礎の繰り返しになる。強さに果てはない。才能の有無は二の次、まずは限界まで身体を押し上げることが大事かな。
「早乙女君、虎の気質を良く留めたかな。あと、それから獅子咆哮弾し打ち勝つ最後の決め手は強気になることだよ。重い気は沈むけど、強気は昇る」
そう伝えると早乙女君は気が抜けて倒れた。
流石に根を詰めすぎたかな?