「待っていましたわよ。お義姉様」
「あはは、前みたいに名前で呼んでほしいかな」
レモンティーを淹れてくれる小太刀さんにそうお願いしながら、いきなり九能先輩の事を力付くで屋敷の外に追い出し、私を呼んだ理由を聞く。
「先日の出来事です。いつものように乱馬様に捧げる愛の告白を考えていたとき、お兄様ったら私の作った乱馬様の巨大ポスターを斬ったんです!」
「……どこにポスターを置いてたの?」
「埃を取るために外に置いていましたわ」
「そ、そう……(九能先輩が早乙女君の写真を斬るとは早々に思えないけど。突風か何かでいきなり迫ってきたら間違えて斬るかも知れないね)」
ちょっとだけ自分の夫を擁護しながらもレモンティーを飲んでいたとき、ピリッとした感覚を感じたかと思えば身体が動かなくなる。
そのまま椅子を傾け、地面に倒れる。
これは、痺れ薬かな?
「蛇の拳法を使うと聞いていたので心配していましたが、まさか濃度を三倍に引き上げて、ようやく効果を発揮するとは恐るべき耐性ですわね」
「……直ぐに解毒出来るなら大丈夫だよ。けど、九能先輩に仕返しするのに私を使うの?」
「えぇ、お兄様に対する攻撃はやはりお義姉様の事に限ります。ついでにお義姉様の疎いお兄様に関する、性的嗜好の情報をお教えしますわ」
───たまに思うけど。よく恥ずかしかないよね。
疎いのは事実だから何も言えないけど。
しかし、だからと言って義妹に教授を受けるのは流石に恥ずかしいです。
「お義姉様、お兄様が秘蔵にしている本も幾つかお教えしますわ。ほら、此方なんて如何かしら?」
「へうっ、ひぃんっ…!」
ペラペラとまだ痺れて動けない私の頭を固定して、え、ええ、エッチな本を捲っていく小太刀さんに顔を真っ赤に染めながら目を逸らす。
「おのれは何をやっとるんだ」
「チッ。何をやっているなど決まっていますわ。お兄様の株価を暴落させ、お義姉様をこちら側に引き込む作戦ですわよ!!」
「切君、僕は決してこういうことをしたいわけじゃない。……ところで何故、寝転んだまま動かないんだ?」
「お義姉様なら痺れ薬で動けませんわ」
「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………いや、やめておこう。流石に信憑性の無いときに試すのは良くない」
「助平お兄様には困ったものですわ」
「だまれ、変態妹」
そ、そういうのは良いから助けてほしいかな。