九能先輩と小太刀さんの壮絶な兄妹喧嘩は今日も続いている。小太刀さんの作戦は私の写真をばら蒔くと喧伝し、九能先輩の事を煽り、九能先輩が止めるために動けば写真は宙を舞う。
損しているのは、私だけですね。
「切ちゃんの恥ずかしい写真ってなんやの?」
「右京、すごい度胸あるな。
「ふ、二人とも流石にダメじゃない?」
右京さんとシャンプーの暴挙を諌めるあかねさんに嬉しく思う反面、彼女も私の恥ずかしい写真というものが気になっているのは事実かな。
そんなことを考えていると今日も風林館高校にやって来た小太刀さんに対抗するべく取り出した分厚い本に私達は小首を傾げる。
「あら、何ですの?」
「とあるスジを頼って手に入れた代物だ。お前の持つ切君の写真とトレードしてほしい。この中には早乙女乱馬の日常を撮影したドキドキメモリアルが二百枚以上収まっているのだ!!」
「「「か、買ったぁ!!」」」
シャンプー、右京さん、小太刀さんの三人が素早く手を挙げる。今回は無関係だからと安心しきっていた早乙女君は土手を転がりながら、九能先輩に向かって走り出すもシャンプー達に阻まれる。
「なびき先輩だろ。渡したの」
「フッ。何を言うかと思えば当たり前でしょう」
句君の胡座を掻く足の間に座り、然も当然のように答える天道先輩の心強い一言に、ほうっと安堵の吐息を吐いて、校庭の方に視線を戻す。
「早乙女メモリアル!一枚目は『上半身裸で腹筋を繰り返す早乙女乱馬』の写真だ!」
「すごっ、前鋸筋まで浮かび上がってる!」
「腹直筋も腹横筋もすごいね!」
「なんでそんなに筋肉に詳しいんだよ!?」
「「親友が筋肉フェチ!」」
はい。その筋肉フェチの親友です。
ヒラヒラと早乙女君に手を振り、九能先輩に追い縋る彼の背中に抱きつき、素早くツーショットを撮影し、更に空を舞う早乙女君の腹筋をする写真を手にしたのは、やっぱり小太刀さんだった。
「オホホホ。残念でしたわね!……う、美しい」
分かる。
「なんか、したり顔で頷いているわね」
「なあ、なびき先輩のためならオレもポーズとか取るぜ?写真で儲けたいなら好きなだけ取ってくれ」
「フッ。甘いわね、句君。すでに貴方の写真は後輩に大人気だから大量に取っているわよ。風林館高校二年の四大美少女もいるからね」
……四大美少女と言われても私は左目の色素は薄くて、あまり綺麗とは言えないのでは?と小首を傾げながら、二枚目の写真をばら蒔く九能先輩を見つめる。