「「無差別格闘早乙女流奥義!!」」
「熊猫猛奔撃!!」
「邪気隠滅拳!!」
早乙女君の繰り出したパンチを紙一重の間合いで躱し、中国拳法の代表的な肩口と背部を叩きつける強烈な体当たりを行う早乙女玄馬の攻撃をカウンター気味に受け、早乙女君はアスファルトブロックに衝突し、血を吐く。
ぐらつき、たたらを踏む。
けれど。早乙女君は倒れず、緩やかに構え直して早乙女玄馬の事を見つめる。父親を乗り越えるために全身全霊の勝負を仕掛けている。
「激獣タイガー拳!」
「糸色さんに最古の象形拳を学び、どの様に強くなったのかをたしかめてやろう!」
そう言うと早乙女玄馬は素早く爪による打撃を繰り出す早乙女君の攻撃を制空圏を築き上げて防ぎ、更に踏み込んだ早乙女君の足首を蹴った。
「甘いわ馬鹿者が!!」
「ぐあぁっ!?」
バランスを崩した彼の顔をしなる蹴りが薙ぐ。
後ろに吹き飛ばされ、地面を転がりながら立ち上がった早乙女君の纏う穹激気は萎み、僅かにオレンジ色が濃くなっているようにも見える。
時間切れ、かな。
「まだじゃぞ。しかし、乱馬と戦っておる男、早乙女玄馬と言ったか。随分と猛々しい気を静めておる。一手仕合ってみたいと思えたのは久方ぶりじゃな」
そう言って早乙女玄馬の事を見据えるマスター・シャーフーの目が開き、楽しげに笑っている。後進を育て上げ、三位一体を告げるマスター・シャーフーの言葉に私も頷き、笑ってしまった。
「行くぜ、親父!無差別格闘早乙女流必殺奥義!」
「馬鹿者めが!その構えは猛虎一撃態!」
「オレ調式八宝大火輪だァーーーーッ!!!」
手のひらサイズの花火玉を握り締めた早乙女君にビックリした早乙女玄馬は僅かに躊躇ったその瞬間を見逃さず、早乙女君は花火玉を投げ付け、爆発を起こした。
「ヘッ、どんなもんだ!」
モクモクと立ち込める黒煙に向かって叫ぶ早乙女君。しかし、黒煙が晴れると無傷の早乙女玄馬が悠然と佇んでいるのが見えた。
「今のは回し受けじゃろう。花火の火花を回し受けに巻き込み、火花その物を周囲に散らした。げに恐ろしきは一切の躊躇なく火薬を受ける精神力!」
「マスター・シャーフーがそこまで褒めるなんて珍しいかな。いつも遠回りな修行法や技の構え方を教えて、満足げに頷いてばかりなのに」
「観察の中に修行あり。ワシもまた弟子の成長によって強さを更なる高みへと進めている途中、いずれお主にも分かる日が来るじゃろう」
そう言ってマスター・シャーフーは楽しげに笑う。