通算183回の必殺奥義を繰り出した早乙女君の動きを完全に読みきった早乙女玄馬の勝利に終わり。早乙女君の激気は僅かに臨気に傾き掛けたものの、すぐにまた激気に戻っていった。
「ちくしょー、やっぱり親父は強えな」
「ハッハッハッ。まだまだお前に早乙女流の看板を譲るには時間を掛けねばならんな。乱馬よ、あかねさんと結婚する前に待ち受ける天道君はワシ並みに強いぞ」
「……ヘッ。上等だぜ、ぶっ倒してやら!」
そう言って意気込む早乙女君の言葉に二人を心配して見に来ていたあかねさんは顔を赤く染め、アスファルト塀に背中を預けたまま座り込んでいる。
まあ、どう聴いても結婚するために父親を倒すと宣言している訳だからね。あかねさんが、あんなに頬っぺたを赤く染めてしまうのは仕方ないかな。
「恋の中に修行ありじゃぞぉ?」
「なんか、おじんさんっぽい」
「ワシはお爺ちゃんじゃな」
ほっほっほっ。と、笑って散歩に戻ったマスター・シャーフーに一礼し、あかねさんに「そろそろ出ていってあげたら?」と声を掛けると、コクリと頷いた。
小鎌さんとかっこいい太郎君、私と九能先輩、あかねさんと早乙女君が結婚したら、風林館高校はすごい人気になりそうではあるんだよね。
クスリと笑って空き地を離れて、暫く歩いているとフェンスと川を隔てた向こう側の道に一人の男の人が佇んでいるのが見えた同時に気配が増えた。
「…あなたが最後の許嫁さん?」
「如何にも私が君の許嫁だ。九能帯刀と婚姻届を提出しているようだが、此方で一時的に無効にしている。ここは、フェアに行こうじゃないか」
「ん。私もズルいことをしたから受けるかな」
そう言ってフェンスの上に飛び乗り、向こう側に繋がる大きなパイプの上を歩いて、向こう側に到着して、ふと見覚えがある様な気がして、見つめてしまう。
「まさか、
「! ああ、覚えていてくれたんだね」
私が覚えていたことが嬉しかったのか。にこやかに笑う黒く長い髪を後ろに束ね、着物を身に付けた
「ずっと君に会いたかった」
「あ、あはは、そうかな?けど、昔と雰囲気とか違うのに、よく糸色切が私だって分かったね」
「
幼なじみ。
長野県の糸色本家にて行われる百年続く糸色流格闘書道と慈恵院流格闘書道の名誉を懸けた激闘。その度に私と九能先輩、宗達君で遊んでいたかな。
「けど。どうして、私の許嫁に?」
「私は君を好いているのだ」
「え、そんな素振り見せがっ!?」
刹那、ミシリと首筋に痛みが走った
「大丈夫だ。帯刀には負けん」