聖ヘベレケ女学院、体育館。
白と花柄のレオタードを纏った私は軽く手首を動かして柔軟体操を繰り返す最中、私の名前を呼ぶアナウンスが聞こえたので通路を歩いてリングに向かう。
プロレスやボクシングの四角形のリングその物を活用しているらしく、ロープの弾性を利用してリングの中に飛ぶ。初めて入ったけど、意外と広いかな。
私のセコンドに付いてくれたあかねさんと早乙女君にガウンを預けてクラブとリボンを手に持って、リングの中央に立つ小太刀さんを見据える。
「まさか親しき友人と戦うことになるとは。ですが、これもまた愛を手にするため乗り越えてみせますわ。切さん、良き勝負をしましょうね」
そう言って右手を差し出す小太刀さんに応えるために右手を差し出した瞬間、ガチャリと手枷と真っ黒な子ブタが繋がっていた。
「Pちゃん!?」
「あかねさんのペットなの?」
プギプギと早乙女君に怒る真っ黒な子ブタを優しく抱き上げ、勝負の邪魔だから胸に差し込んでおく。ピクリとも動かなくなったけど、大丈夫かな?
なんか邪な視線を感じるけど、無視しておこう。
「無制限一本勝負の開始です!」
アナウンスの言葉を聞いて、先に飛び出してきた小太刀さんの振るうリボンを避ける。が、躱す瞬間にトゲを伸ばして間合いの外まで追いかけ、私の顔を狙った攻撃にビックリする。
「……格闘新体操って、ありなの?」
「徒手空拳以外ならありですわよ。オホホホ」
「じゃあ、こういうのもありなわけね」
リボンの布に気を込め、引き伸ばす。
独りでに直立するリボンの姿に、ざわめきが聴こえるけど。格闘新体操を名乗るのなら、気功法ぐらい使えるに決まっている。
「はあっ!!」
「クッ、リボンが追従するなんてインチキですわ!」
「なんでもありなんでしょう?」
「限度があります!」
そう言って私の気を込めたリボンは意のままに動きを変えて、リングの中を駆けて逃げる小太刀さんの背中を追い、振るわれるフープを切り裂く。
「ヌゥ!?アレは正しく
「うおっ、来てたのかよ親父。いや、それよりも知ってるのか、アレ!」
「うむ、数ある気功闘法の中に存在する秘中の秘。気の総量によっては1mもの鋼線を操るものもいるという幻の技じゃ!」
……大体あっているけど。
どうして、早乙女君のお父さんが大豪院流の技法を知っているのだろうかと小首を傾げそうになる。けど、今は小太刀さんとの勝負に集中しないといけない。
「つまり、すごい気合いで動かしてるわけね」
「概ね合っておる。だが、乱馬と同い年の娘があの幻技を体得しているとは……」
こういうのは、努力すれば出来るものかな?