逆ハーレム。
いわゆる一夫多妻の対義語だと教えてくれた彼女の言葉を整理すると、彼女は早乙女君やムース、響君などカッコいい男の子達とお付き合いをしたいそうだ。
「浮気はダメだよ?」
「うっ、純真無垢な眼差し…!けど、そう簡単に諦めるつもりはないわ!次の剣道大会で、私の通う青春学園の凄さを見せつけ、あなたの男を奪うわ!」
そう高らかに宣言する彼女の手を握り、足首を蹴って無理やり正座するように押さえつけ、手首と足首を背部で繋ぐようにスカーフで縛り付ける。
「いたたたっ!?」
「先ず、浮気や横恋慕は悪いことかな。あと私は早乙女君とムースと響君とはお付き合いしていないし。三人とも好きな人は別にいるよ」
「じゃ、じゃあ、その指輪は!?」
「私の結婚指輪かな♪︎」
「……学生結婚、ですって!?」
ピシャーンッと雷鳴を背負う彼女の驚愕する顔に苦笑を浮かべつつ、彼女の目の前にスカートを押さえながら座って私の旦那様を伝える。
「私の旦那様は九能帯刀君だよ」
「……えっ?うそ、マジで?」
「むっ。ウソなんて言わないかな」
「じゃあ、ショートカットの女の子は?」
「アレは私の親友の天道あかねさん。結婚式を挙げるときに親友スピーチをしてもらえるんだ♪︎」
自分の声の弾みに恥ずかしさと嬉しさを覚えつつ、静かに溜め息を吐く彼女を抱き締めるように片手足を結んでいたスカーフを解いてあげる。
理解はしてもらえたみたいかな。
「ごめん。勘違いしていたわ、てっきり貴女の事を『逆ハーレム狙いのクソカスゴミ特異点』なのかと思ってしまっていたわ」
「特異点!貴女も特異点なの?」
「もって、まさか糸色切もなの?」
「ううん。私は違うかな」
『特異点』は世界のピンチに現れたり現れなかったりする不思議な接点を持つ人々の事を言うとお父さんに聞いたことあるけど。
彼女もそうなのかな?
「ごめんなさいね……
刹那、ノイズが走った気がした。
「っと。名乗りが遅れたわね。私は青春学園に通っている二年生の
「改めて、糸色切かな。よろしく京子さん」
「くっ。やっぱり顔が良すぎるわね。おまけにとんでもない爆弾をこさえているし……サイズって聞いても良いのかしら?」
「爆弾?サイズ?」
「なんでもないわよ、気にしないでちょうだい!」
【概要用語解説】
本作の単語や転生者に関する事を解説します。
【
本名「神元京子」。
年齢は16歳。身長162cm。
「Lサイズの幸福」の世界に極々普通で幸せな家庭の次女として生誕した転生者。いわゆる乙女ゲーをやり込んでい自称「逆ハーレムを築く女」だが、京子本人は「ふざけるな、悪役令嬢も私のヒロインにしろ」という丸ごと引っ括めて愛するタイプ。
青春学園に通う二年生であり、一番顔の良くて胸の大きな「糸色切」を、主人公と信じて突撃したけど。既にゴールインしている上、とんでもないナルシストっぽさを感じる男と結婚している事実に困惑し、糸色切の顔の良さに負けて絆された。
転生する際に選んだ「特典」は「自分の努力でヒロインになる」と「努力できる強い心がほしい」。
一つ目の特典「自分の努力でヒロインになる」は文字通り。自分の努力だけで本当に好きになった人を振り向かせるために努力できるというもの。だが、そう簡単に運命の相手は見つからない。
二つ目の特典「努力できる強い心がほしい」は何事にも負けない強く誰かを思いやれる勇気を持てる。そのせいか優しくされると、物凄くチョロくなる。