一週間後。
九能先輩を懸けて応援合戦をするという青春学園二年生の格闘チアリーディング部部長今条マリ子と女の子に変身した早乙女君の二人と離れた場所に座り、私もパタパタと団扇を振ってみる。
「切さん、もっと激しく振るのよ!」
「そうだぜ、切ちゃん」
「こ、こう?」
「お義姉様、もっと派手にでさわ!」
小鎌さんと句君、小太刀さんに言われるがままパタパタと大きく手を広げて、手拭いを頭に巻いて髪の乱れを整えた九能先輩は面具を被る前に私の方を向き、面白いものを見るみたいに笑ってきた。
うう、やっぱり普通に応援したい。
そう恥ずかしさに顔を赤らめながら相手側の大将を務める友引高校二年生の面堂終太郎の事を見つめる。既に面具を被って精神統一を続けている。
「(なんでトラ柄ビキニを着てるんだろ?)」
そう友引高校の応援席にいる女の子を見つめると、向こうも私に気付いたのか。ニコニコと笑って笑顔を振ってくれた。あ、すごくいい人だ。
私もヒラヒラと手を振り返す。
そう思っていると試合開始の合図を聞き、九能先輩と面堂君の試合を観戦する。九能先輩は神谷活心流剣術ではなく、神谷活心流剣道を使い、面堂君は豪快且つ壮烈な面打ちを繰り出し、九能先輩に応戦する。
胴を打てば逆胴を仕掛け、竹刀は快音を響かせて試合会場に異様な緊張感を植え付ける。いえ、それ以上に驚いたのは面堂君という男の子が、剣道の腕前で九能先輩と互角に渡り合っている。
「相手の男、やるわね」
「あの太刀筋、間違いない。真古流の技だ」
「真古流って、神谷活心流の四代目を継いだおじい様と渡り合っていたあの真古流かな?」
「あら、有名な流派ですの?」
二人の言葉に思わず訪ね、小太刀さんの言葉に私達は静かに頷いた。
「真古流開祖の石動雷十太は廃れゆく日本剣術を憂い、明治中期に自分の流儀を掲げて日本諸国を巡り歩いていたある時、神谷活心流との試合を経て活人剣の存在を知り、形は変われども紡がれる剣の道を学んだんだって」
そう話すと小太刀さんは「まあ、お兄様の流派とそんなことがあったのね」と感心しながら、九能先輩を応援し、妨害行為を続ける今条マリ子と早乙女君に二人同時に竹刀を振るい、バトンを弾き返した。
「あら、お兄様ったら怒りましたわね」
「仕方ないかな。高校最後の夏季大会だから」
しかし、真古流の動きとは違うように思える。どこかで見た覚えのある足捌き。───あかねさんがよくやる天道流の足使いに似ているんだ。
……ということは、相手はあかねさん?