「貴様、僕諸とも斬ろうとしたな!」
「当たり前だ!貴様、僕がまだ結婚していないのに先に結婚しおってからに、まるで僕が君の後追いをしているように思われるじゃないか!!」
「フッ。この九能帯刀の真似など貴様ごときには出来ぬわ!好いた相手を尊重し、愛し愛される事こそ
九能先輩の言葉に感銘する何人かと、どこか微妙そうな顔を向ける人達。私の知らない間の九能先輩の事を知っている人達の反応かな。
「ダーリン、また浮気したっちゃあ!!」
「誤解じゃあぁぁぁ!!」
「も、諸星君、近いよ……♪︎」
「ん?何か聞こえたかな」
「私は何も聞こえませんでしたわ」
「私も聞こえないわね」
「オレは知らん」
雷鳴の音が聞こえたけど、空は青く雨雲は見えない。気のせいだったのかな?と小首を傾げながら、左片手一本で攻撃を防ぎ、往なす九能先輩と、怒濤の面、小手、胴の三種の技を組み合わせた型を繰り出す面堂君。
「今使っている飯綱は二種類。斬ると飛ぶだが、まだ隠し持っている場合、左片手一本の帯刀先輩じゃ『暹氣龍魂』もまともに出せないだろうぜ」
「甘いわね。句、帯刀君なら折れていようが勝つためなら刀を噛んででも襲い掛かるわよ」
「あらやだ、お兄様の野蛮さがバレてますわ」
「あ、あはは」
野蛮さの言葉に思わず首筋を擦ってしまう。
イヤだって言っているのに、あんなに……っ、私はこんなときに何を考えてるのかな!?コホン、うう、やっぱり私にはまだ早かったんです。
「くたばれ、軟派者めがぁ!!」
「失礼な、僕は純愛派だ!!」
そう言うと九能先輩は構えを変えた。
「糸色流の突き技?……違う」
アレは北海道の黄金争奪戦に参戦した日本最強の一人、元新撰組三番隊隊長の斎藤一の最も得意としていた一刀必殺の刺突技────。
「牙突ッ!!!!」
九能先輩の振るった突きは喉元の防具を突き、凄まじい炸裂音と共に九能先輩の握っていた竹刀は粉々に弾け飛び、柄と鍔を残して完全に竹の刀身が粉砕された。
「一本、それまで!!」
審判の宣言によって九能先輩の勝利は確定し、私達は拍手を繰り返す。良かったと喜びながら、今条マリ子は嬉しそうに九能先輩に抱きついている。
むう、私の帯刀君なのにズルいかな。
「今、『私の帯刀君なのにズルい』って思ったわね」
「んえっ!?」
「オホホホ、お義姉様ったらお可愛いこと」
「くっ、くうぅ……そうだよ、事実だよ。でも、本当に私のタッチーなんだからね?」
そう、口許に両手を当てて呟く。
「「は?可愛すぎるが?」」