「タッチー、お昼どこにしようか?」
「うむ、そうだな゛ばっ!?」
ゴスッと岡持ちが九能先輩の顔にぶつかり慌てて岡持ちを受け止めつつ、九能先輩の事も受け止めると次々と食器が飛んでくるのが見えた。
また、猫飯店で喧嘩かな?と小首を傾げつつ、割れないように飛んできた食器を九能先輩と一緒に抱えて暖簾を潜ると早乙女君をボコボコに殴り倒しているシャンプーが佇んでいた。
「む、惨たらしい姿だぁ」
「ムース、これは一体何があったのだ」
「お、オラにも分からないだ。いきなりシャンプーがオラに優しくなったかと思ったら、早乙女乱馬を一方的に嫌いだして、ああなっているんじゃ」
「ホウ。遂に恋が成就したわけか」
「っ!!そ、そういうことだか!?」
丸眼鏡をおでこに上げて感涙の涙を流すムースの左腕に抱きついて、早乙女君に「べーっ」と舌を伸ばしてバカにするシャンプーに、やっぱり違和感を抱く。
……あんなブローチしていたかな?
そう不思議に思いながら、シャンプーを見つめていると「どえしたね。
ただ、早乙女君はどうしようか。
「……お婆ちゃん、奥の部屋を借りて良い?」
「糸色殿の願いなら如何様にでも。しかし、シャンプーはどうしてあの様な事になったのやら」
一瞬、お婆ちゃんにウソの臭いがした。どちらかといえば闘気が乱れたようにも感じるけど、原因を知っているのは事実みたいだね。
────と、なるとだ。
彼女のブローチに妖しさを感じるかな。
「九能先輩、折角だし。ここでお昼にしようか」
そう話しながらメニュー表を手にとって、私がどれにしようかなと考えているとき、カッ!と九能先輩は目を見開いた。
「中国妖怪、上海蟹や鰻を使った料理を頼む」
「誰が中国妖怪じゃ!!…っと、お主の要望は聞いてやるが。あまり糸色殿に無理強いするでないぞ」
「当然だ」
「? 私がどうかしたの?」
「なんでもないぞ。切君」
にこやかに笑う九能先輩に小首を傾げる。
蟹と鰻って、組み合わせ的に合うのかな?と思っていると早乙女君の呻き声が聞こえ、そちらを見たらシャンプーが彼の身体に漬物石を乗せていた。
そこまでするなんて、相当怒っているね。
違和感を感じる云々以前の問題だったかな。ここまで嫌われることをするとなると、早乙女君が本当に良くないことをしたのかもしれない。
「ほれ、出来たぞ」
「ありがとう、お婆ちゃん。いただきます」
「いただきます」
そう言って私達はお昼ご飯を食べ始める。