右京さんとあかねさんに告白紛いの台詞を繰り返し、満更でも無さそうな二人の反応に自信を取り戻した早乙女君は再びシャンプーを虜にするつもりだ。
「そのままにしておけば良いのにね」
「なんで、あたしにそんなこと言うのよ」
「だって、あかねさんは早乙女君の事を大好きに想っているし、早乙女君もあかねさんの事を大好きに想っているのは見ていて簡単に分かるかな」
「じゃあ、シャンプーにあんなことするのは?」
「プライドじゃない?」
そう言うとあかねさんは深く溜め息を吐いたかと思ったらタキシード姿の早乙女君を一瞥し、少し呆れたように、また溜め息を吐いていた。
それにしても二人とも素直じゃない。
好きなら好きって言えば良いのにね。
「句君はいつも言ってるのに」
チラリと天道先輩の隣に座って自然体のまま背もたれやクッションのように扱われているのに句君を見遣る。正直、あそこまでくっ付いているのに、お付き合いしていないのは本当に不思議に思える。
けど、あれもまた恋愛なんだろう。
「小鎌さんに相談する?」
「ううん。小鎌先輩は参考にならないから」
「なんでよ!?」
「だって、お互いに一目惚れしたかと思ったら一週間も経たずに結婚するなんて、あたしには無理よ。あんな風に言えたらとは思うけど」
確かに、小鎌さんとかっこいい太郎君の結婚はビックリした。おじ様なんて「私の娘はどうなってしまうんだ!?」と糸色本家の会合で悩みを吐露したそうだ。
幸せなら、それでいいのにね。
「悩ましいわね」
「そう簡単に素直にはなれないわ」
「フフ、可愛いね。あかねさん♪︎」
「……バカにしてるの?」
「本心かな。一生懸命に好きな人に振り向いてもらえるように努力するあかねさんはとっても可愛いし、とっても綺麗だと私は思っているよ」
「あ、ありがとう」
なんで顔を赤らめるのだろう?と小首を傾げつつ、私の肩口に視線を向けるあかねさんに気付き、すっと服をずらして痕を隠す。
「……その、やっぱり痛いの?」
「なんのことかな」
「私は痛かったわよ」
小鎌さんは堂々とし過ぎているかな。いや、そういうのが普通なのかな?と考えてみる。まあ、兎に角、好きな人と一緒にいたいのは分かる。
「男には言えない話ね」
「姦しい話よ」
「あ、あはは」
二人に挟まれて、逃げ場を失っていることに気づいたものの、どうしようも出来ないと悟り、誤魔化すにしてもどうしようかと思う。
出来ることなら話したくない。
ふつうに、そういうのは恥ずかしいかな。