「この黒バラの小太刀をお嘗めにならないことね。格闘新体操奥義千手こん棒!」
素早く真っ直ぐ放つクラブの乱打によって私の操っていたリボンは多箇所に打撃を受け、ビリビリと破れ、リングの上にリボンだった布切れが散乱する。
流石は九能先輩の妹、小太刀さんだ。
「フッ。如何に気功だ気力だを使おうと所詮布は布に過ぎませんわ。このまま一気に切さんのことを倒して差し上げます!」
「うん。強くて面白いね、格闘新体操!」
螺旋状を描くリボンを繰り出し、その刹那の最中にフープとクラブを投擲してきた小太刀さんの攻撃を右手の鎖で受け止め、胸に当たりそうな攻撃は手で弾く。
子ブタに当たったら危ないからね。
「やはり、この程度の攻撃では倒せませんわね。しかし!格闘新体操の真髄は無限に広がる道具さばき!この会場のモノ全てが私の武器になる!!」
そう宣言するとリボンを巧みに操り、ゴングを絡め取った彼女は分銅のごとくゴングを重しに利用し、私の事を攻撃し、椅子、机、マイク、続け様に沢山の道具を投げつけてくる。
少し、戦い難くなってきたかな。
「これで、トドメよ!!」
『あーっと!九能小太刀選手、実の兄を投げた!!』
「切君、すまない!」
「早乙女君!!」
「え゛っ」
リボンを巻かれた九能先輩が飛び掛かってくるのが見えると同時に私はリングの近くに立っていた早乙女君の襟首を掴み、素早く引き上げ、九能先輩に向かって振りかぶった。
『当然実の兄とクラスメートも道具とみなされます!』
『実の兄、有効!』
『クラスメート、有効!』
そう高らかに宣言する判定の言葉にホッとする反面、九能先輩の木刀をギリギリで真剣白刃取りで受け止める半泣きの早乙女君に笑みを向ける。
九能先輩も早乙女君の蹴りを片手で防ぎ、相討ちもどちらかが負けることもなかった。武器の性能は互角、あとは使い方次第かな?
「ありがとう。助かりました」
「チッ。使えない、お兄様ね」
「「お前は人を何だと思ってんだ!?」」
二人の言葉に私達は小首を傾げる。
「格闘新体操って、こうなんでしょう?」
「格闘新体操とは、こういうものですわ」
早乙女君をリングの外に送り、何か他に使えるものを探していると銀色の棒が私に向かって飛んできた。なんで、ここに先生がいるのだろう?と疑問を抱きつつ、棒を見つめて、ゆっくりと構える。
「フッ、随分と長いバトンね」
「これは使い慣れたタイプだよ」
そう言って私は小太刀さんと見合う。
槍術の極致、お見せしよう。