「もうすぐ夏休みも終わるわね」
「馬鹿騒ぎし過ぎたな」
「主に乱馬君と句が中心じゃなかったかしら?」
「姉ちゃん、オレは品行方正な真面目な男だぜ?確かになびき先輩を我が手に収めるために色々と策略を巡らせていたかも知れねえが、射止めたじゃねえか」
「射止めたのは良いわよ。これで私も当主を退いても安心できるし。中国の土地でも買って、かっこいい太郎と余生を過ごすのも良いわね」
パリパリとお煎餅を食べながら、そんなことを話している句君と小鎌さんの二人の前に氷と冷えた麦茶の入ったコップを差し出す。
「切さんはどうするの?」
「私は一人っ子なので家督を継ぐかな。結婚しても姓は変えず、そのまま糸逢に戻るだけ。お母さんとお父さんも同じように考えているみたい」
「まあ、帯刀君も将来は九能家の家督を継いで風林館高校の教師なり、普通に働くなりするわけか」
「……九能先輩は九能財閥の嫡男だから、そういうことになるのかな?」
いつものように小鎌さんと句君と話していたとき、ピンポーンと訪問者を告げるインターホンの音が聴こえ、私が動こうとした次の瞬間、小鎌さんと句君の二人が警戒心を露にしながら武器を構えている。
ピンポーン、と音が聴こえる。
しかし、三度目は聴こえなかった。
代わりに、殺気を感じた。
「失礼する」
鉄を切断する音。
「随分と手の込んだ登場じゃない」
「(小鎌さんの知っている人?)」
私は目の前に立つ句君より大柄な男性を見つめる。
どこかで見た覚えのある顔つきだけど。だれに似ているんだろう?と考え込んでいた刹那、顔の真横に鎌の刃が現れ、突き刺さる寸前に二重の極みを撃って刀身を粉々に粉砕した。
「あ、思い出した。本条家前当主…!」
そう、名前は確か
「どうして、ここへ?」
「馬鹿息子の教育だ。よりにもよって無差別格闘流の人間と結婚しようなど言い出しおって、アイツらは私に借金を押しつける極悪非道な存在だ」
「本条鎌一、天道先輩はいい人だよ」
「糸逢家、本条家の問題だ。でしゃばるな」
「いいや。でしゃばるかな!!」
私は小鎌さんと句君の二人を押し退け、偉そうに佇んでいる二人の父親の襟首を掴み、重心を砕いて地面に叩き潰す。いくら相手が強くても私のほうが怒っている。
「句君と天道先輩は打算なんて抱かず、お互いを愛しているのに、どうして父親が認めないのかな。私のお父さんは最後は認めてくれたのにさ」
「糸逢と本条は違う」
…………あれ?この人、わざとやっている?