「お婆ちゃん、コイツら何なのかな?」
「まずワシも聞きたいのじゃが、
「チッ。セージのヤツめ、その様な者に負け…」
「? なにかな?」
「その顔と眼鏡は見覚えがある。我が国の秘宝『止水桶』を一度奪っていった悪鬼の持っていたという人相書きに瓜二つ。いや、一部は違うようだが」
「(なんで、みんな胸を見るんだろう……)」
そう少しだけ恥ずかしさを抱きつつ、響君の事を叩き潰した青年の襟首を掴む手を離し、緩やかにローブ姿の相手を見据えたまま破傀拳の構えを取る。
背格好は低め。武器の金音は無し。
この「セージ」と呼ばれた青年と同じく素手の戦い方を得意としているか。はたまた、別の戦い方を知っているかだけど。
兎に角、強いということは分かる。
「この私に
「止せ、糸色殿!今のお主では勝てぬ!」
「もう遅い!」
「早乙女君より素早い!?」
ローブを羽織ったまま繰り出されたのは、火中天津甘栗拳のように素早く鋭いラッシュを受ける寸前、眼鏡を真上に放り投げ、両の目を見開き、舌を鳴らしながら、制空圏を築きあげる。
初撃の抜き手を外側に弾き、二撃目の縦拳を上に往なし、三撃目の虎口拳を受け流す。舌を鳴らして、次の行動とローブ越しに見える
「貴様、その動きは獣拳か?」
怪訝そうな目を此方に向け、僅かに驚愕している。
「それを教えるつもりはないかな」
「自信ありげに来たかと思えば、
「待ちなさい」
今の、言葉は聞き捨てならない。
私を救ってくれた恩師の流儀を馬鹿にしたなっ!!
「獣拳を馬鹿にしないで」
「馬鹿などするものか。所詮、獣の拳だ」
「ッ、そういうところだよ!!」
「ようやく隙を作ったな?」
ローブ越しに笑みが見えた刹那、私の身体は黄金の龍によって吹き飛ばされ、猫飯店の天井を突き破り、ミシミシと全身に例えようのない衝撃を撃ち込まれ、地面に向かって落下していく。
地面に激突する寸前、シャンプーやあかねさんが受け止めてくれたものの。完膚なきまでに、私は敗北というものを刻まれた。
「ドラゴンの、獣拳なんて、知らないっ……!」
「当然だ。私の修める拳は脆弱な拳とは違う。極みの拳。この世に伝説を残す幻獣の拳なり」
その言葉を聞いた瞬間、私の意識は途絶えた。